日本小児循環器学会理事長
山岸敬幸
(2024年4月15日)

新年度(2024)のご挨拶

  今年もまた桜の季節がやってきました。学会員の皆様には、新たな年度で気持ちも新たに、また、新たな職場で働きはじめた方もいらっしゃると思います。いつも活発な学会活動ならびに学会運営にご尽力いただき、誠にありがとうございます。

 さて、今年は令和6年能登半島地震にはじまり、ソ連のウクライナ進攻も終わりが見えず、ガザ地区での戦闘なども続き、国内外の被災地の皆様の安心・安全を、心よりお祈り申し上げると共に、小児循環器診療を含めて現地の診療に携わられている医療従事者の方々に敬意を表し、学会としても何かお手伝いできることはないだろうかと考える次第です。

 この季節、学術集会の演題募集、査読が終了し、シンポジウムや教育セッションなどを含めて、準備も順調に進んでいると思います。7月の福岡で、また皆様にお会いすることを楽しみにしています。今年はJCK-Asia Pacific Heart Forum 2024が同時開催されますので、ぜひアジアの小児循環器の仲間たちとも交流を深めて下さい。

 学会・理事会主導の事業も色々進んでいます。学会(academic)としてますます質の高い小児循環器・先天性心疾患の専門診療を社会(social)に提供するために、「小児循環器専門医」の日本専門医機構認定申請がいよいよ進んでいます。同時に外科系を中心として「小児心臓血管外科医生涯育成プログラム」が開始されました。わが国が世界に誇る先天性心疾患手術成績を次世代に継承して維持・発展することと、当学会から発信し、日本心臓血管外科学会、日本胸部外科学会との合同提言とした「先天性心疾患の手術を行う施設の集約化(地域拠点化)」にリンクしています。4月中に発行されるニュースレターでも紹介していますので、どうぞご覧下さい。幸いこの育成プログラム事業に、心臓病関係の基金から資金援助をいただけることになり、弾みがつきそうです。「集約化(地域拠点化)」というと、「総論は賛成、各論は困難」ということが多く、これからの進捗は厳しいのが世の常ですが、上記3学会の理事を務めるオールジャパンの小児心臓血管外科を牽引する8名が、各地域のまとめ役となってそれぞれの実情に合った「地域拠点化」に尽力していただくことが理事会で決定しました。各地域で外科系・内科系、ぜひ一致協力して有意義な議論・検討をしていただくことをお願い致します。

 分科会は、日本小児循環器学会を支える大切な存在で、会員の皆様と一緒に育ってきました。研究会から学会となり、他領域の会員の参加も得て拡大している分科会も多く喜ばしく思うと共に、時代の変化・多様化に対応する必要性も感じています。この度、30年余の歴史をもつ日本小児肺循環研究会は、土井庄三郎代表幹事を中心とする幹事会の討議と決定により、日本肺高血圧・肺循環学会と統合しました。同時に分科会取り下げの申請が理事会で承認されました。これは学会にとっても非常に大きな出来事で、小児循環器学を取り巻く様々な領域の発展に寄与する分科会の一つの方向性と思われます。今後、本研究会幹事会は、日本肺高血圧・肺循環学会の中で小児肺循環研究委員会として活動し、循環器内科、呼吸器内科、リウマチ内科、基礎医学など多領域との強い連携により、わが国の本領域の進歩に貢献していきます。日本肺高血圧・肺循環学会は日本小児循環器学会とも特別な関係・連携で結ばれ、小循の会員の皆様が本領域でこれまで以上に広く活躍・研鑽できる場が増えていくことが期待されます。

 最後に私事ですが、4月1日付で東京都立小児総合医療センター院長を拝命しました。新年度から新たな立場で、小循を益々盛り上げていきたいと思います。学会員の皆様には、さらに大変お世話になることと存じますが、引き続き変わらぬご協力、ご支援をお願い致します。