日本小児循環器学会会員の皆様へ

平成27年1月21日

日本小児循環器学会理事長
安河内 聰

 心臓病と共に生きるお子様とそのご家族のために、日夜診療に携わっておられる会員の皆様の努力に心から敬意を表します。

 このたび、日本小児循環器学会として2つの要望書を提出させていただきました。

 その一つは、小児用補助人工心臓Berlin Heart EXCORの早期承認の要望書です。2015年1月21日に、塩崎恭久厚生労働大臣と厚生労働省の関連担当責任者に、別添の通り早期承認の要望書を福嶌教偉移植委員会委員長と一緒に厚生労働省で提出いたしました。この要望書は、2015年1月12日の理事会で提出することが決定していたものです。

 Berlin Heart EXCORの補助人工心臓につきましては、2014年9月に4例の治験が終了し、2014年11月に厚生労働省に早期導入のニーズが高い医療機器として申請されておりましたが、重症心不全のために待機しているお子さんにとって一日でも早い承認が必要という現場からの強い要望が改めて理事会に移植委員会を通じて提案されたことで今回の要望書の提出の運びなりました。

 この日本小児循環器学会からの要望書提出に対しては、厚生労働省も人道的見地から、十分に理解し最大限の対応をする考えであるという回答をいただきました。

 またこの要望書の提出に当たって、Berlin Heart EXCORを使用した補助循環治療には、その次の治療の選択肢として国内での小児の心移植医療の体制整備が不可欠であることも同時にお願いしました。ただ、移植医療につきましては、学会としても“命の授業”や ”移植コーディネーター育成“などの移植医療に関わるさまざまな観点からの情報発信や提言が必要不可欠であると思います。移植医療について会員の皆様一人一人のそれぞれのお考えで取り組まれることが望まれます。

 もう一つの要望書は、「移行医療に関する横断的検討組織設立について」の要望書です。昨年の日本小児循環器学会評議委員会で移行医療に関する検討について理事会に要望が出ましたが、移行医療の問題は日本小児循環器学会単独で解決出来る問題ではなく、小児科学会、日本循環器学会、日本心臓病学会、日本成人先天性心疾患学会など複数の学会が共同で検討すべき問題と思います。 このため、関連する学会の理事長に「移行医療の横断的検討組織の設置」について要望書を提出しそれぞれの学会から基本的に同意を得ることが出来ました。 今後、具体的にどうするか実務的な議論が必要と思われます。厚労省も移行医療に関するモデル事業案が検討されており、関連する学会で共同して議論が進むことが期待されます。

 日本小児循環器学会は、胎児から成人まで連続して心臓病を持つお子さんを診ることが出来る学会です。

 これからも、一つ一つ会員の皆様からの提案に対して理事会としても力を合わせて対応していきたいという所存ですのでよろしくご協力のほどお願い申し上げます。

厚生労働省への要望書 [PDF]