日本小児循環器学会会員の皆様へ

平成28年2月25日

日本小児循環器学会理事長
安河内 聰

夢なき者に理想なし、
理想なき者に計画なし、
計画なき者に実行なし、
実行なき者に成功なし、
故に夢なき者に成功なし
             吉田松陰

昨年11月に国際文献社に事務局が移転し、初めての新年を迎えることになりました。事務局移転にともない、学会としてもさまざまな新しい試みや事業を展開することになりました。

 学際的な交流の発展としては、従来の欧州小児循環器学会(AEPC)との若手研究者の交流事業に加え、本年からはアメリカ心臓病学会(AHA)とも若手研究者の交流事業を開始することになります。若い小児循環器研究者の国際的交流の促進は、本学会の将来への夢を繋ぐ架け橋になる事業であると思います。

 また、成人移行医療についても担当委員会や担当理事(白石理事)を中心にして日本循環器学会や日本心臓病学会などと協力してデータベースの構築や移行医療体制の整備について検討を始めることになりました。

 一方、小児の適応薬や治療器具の導入遅延の問題についても臨床治験委員会を中心に、小児治験促進のための制度設計を現在準備中で、担当行政機関との情報交流と治験ネットワークの構築を目指しています。小児治験を促進することで、小児適応拡大が得られれば病気をもつこどもたちへの治療がよりしやすくなると考えています。またこのためには、小児心臓病のregistryやデータベースの構築が必須ですので、これについても今までの稀少疾患登録なども含めて統合的なデータベースの構築を目指しています。

 社会保障制度へのアプローチとしては、小児慢性疾患事業および難病指定制度について担当委員会と担当理事を中心とした努力のおかげで指定疾患の拡大を認めてもらいました。
 本年度中には、学会のホームページもより見やすく、情報を得やすくなるように庶務委員会を中心に大幅に改訂する予定です。

 一方、学会としての財務の健全化も重要なテーマでこれらの事業を展開するためには、しっかりとした将来計画と財政に裏打ちされた事業展開が不可欠であることは言うまでもありません。

 日本小児循環器学会の発展は、心臓病を持つこどもたちとその家族のかたがよりよい人生を送れるようになることなしにはありえません。そのためには、会員の皆様一人一人の「夢」をできるだけ集めて学会としての「夢」につなげることが必要だと思います。そのための努力を惜しまず続けたいと思います。
 今年も、是非皆様のご協力をよろしくお願い申し上げます。