III-P-35
ファロー四徴症に肝外門脈圧亢進症を合併した 2 例
東京女子医科大学循環器小児科
工藤恵道,山村英司,中西敏雄,中澤 誠

ファロー四徴症に門脈閉塞症を合併する症例が報告されている.今回,われわれは肝外門脈圧亢進症を合併したファロー四徴症を経験したので,この組み合わせの認識と内科管理のポイントを喚起するため報告する.〈症例 1〉14歳,女児.ファロー四徴症に対して,生後 7 カ月時に心内修復術施行,2 歳時に両側肺動脈分枝狭窄に対してバルーンカテ拡大術を施行した.4 歳時,吐血で入院精査,内視鏡で食道静脈瘤が発見され肝外門脈圧亢進症と診断された.経過中,著明な肝機能障害は認めなかった.〈症例 2〉3 歳,女児.ファロー四徴症で,日齢14に右室肺動脈グラフト吻合術を施行した.4 カ月時吐血,黒色便があり,その後も繰り返し,7 カ月時に胃食道逆流に伴う逆流性食道炎の診断となった.その後も不明熱を繰り返し軽度肝機能障害があったが,診断に至らなかった.3 歳時,心内修復術を施行したが,術後より吐血,下血が頻回となった.上部消化管内視鏡にて食道静脈瘤の診断,腹部造影CTで肝前性門脈閉塞症と診断した.今回,ファロー四徴症に合併した肝外門脈圧亢進症を報告した.いずれも吐血,下血で発症し,当初肝機能障害は軽微であった.症例 2 は感染をきっかけに急性肝不全を起こしたことがあり,診断の確立は経過観察での重要なポイントとなる.また,同様の症例の集積は遺伝子検索も含め原因究明に重要である.

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