I-P-9
当科で経験した13 trisomy,18 trisomyについて
市立豊中病院小児科
川上展弘

【背景】13 trisomy,18 trisomyとも予後不良とされ,以前は積極的な加療はなされていなかった.【症例】当科で2000~2008年に13 trisomyを 4 例,18 trisomyを 1 例経験した.13 trisomyの 3 例は他院で出生,搬送となっていた.18 trisomyは他府県で出生し在宅目的で 3 カ月時に当科に紹介となっていた.13 trisomyで退院が可能であった 2 例のうち 1 例はVSD PAであった.当初は予後不良であることを両親に説明し今後の治療について話し合い内科治療のみとした. 3 カ月を過ぎた頃から家族は在宅の希望を持つようになったが現治療のみでは困難であった.姑息術を両親へ提案し,在宅を目標に外科治療へ踏み切った.5 カ月時に手術を行い,6 カ月時に退院となった.13日間自宅で家族と過ごしたが,感染を契機に呼吸状態が悪化し再入院,無呼吸を頻発し 5 日後に死亡した.18 trisomyの児は在胎35週 6 日,1,418g,APGAR 3/5で帝王切開にて出生,心疾患はlarge VSD PDA valvular PSであった.薬剤でPDAを閉鎖し,当院転院時,強心剤,利尿剤にてコントロールされていた.心不全の増悪に対し利尿剤の増量,他剤を追加した.現在 6 カ月でhANP,BNPともに上昇し体重は2,800gで増加しない状態にある.当初の目標であった在宅は内科的治療で達成されている.両親へは予後が悪く外科手術の負担は大きすぎるという話が出生時からなされている.文献報告では,心内修復術が行われた症例が散見され,長期生存例もある.疾患が単純心奇形であるため現状において治療の選択に苦慮している.【結語】治療行為の選択には積極的治療,制限的医療,緩和的医療,看取りの医療の 4 段階がある.染色体異常を持つ例では特に個別の対応が必要である.治療方針は両親との話し合いで決定していくが情報提供により大きく変わることがある.児の目標をどこにおくか,それが達成された時,さらに変更するか否かも考えていかなければならない.文献報告例と比較,検討する.

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