I-P-15
新生児期に治療を要する先天性心奇形の胎児診断状況と経年変化
久留米大学医学部小児科
前野泰樹,廣瀬彰子,岸本慎太郎,西野 裕,家村素史,須田憲治,松石豊次郎

【目的】胎児心エコーにより先天性心奇形が胎児診断されるようになり20年以上が経過し,これに基づく新生児管理を行う機会も増えてきた.そこで,この胎児診断について現状とこれを最近10年間の状況から見た変化を検討した.【方法】当院にて1999~2008年の10年間に胎児心エコーを施行した625例中,先天性心奇形を診断された117例を対象とした.期間を2002年までの前期31例,2005年までの中期41例,それ以降の後期45例に分類.それぞれの期間において,紹介時期,紹介理由,新生児期に治療介入を要する病態(動脈管依存性,卵円孔狭窄への対処,重症の心不全など)の有無について後方視的に検討した.【結果】28週未満の在胎週数が早い時期での診断は,前期10%から中期37%へと増加したが,その後は後期24%と変化していない.しかし紹介理由では,産科スクリーニングでの 3 vessel view異常の症例が中期 2 例(5%)から後期 6 例(13%)へとやや増加していた.新生児治療介入を要する病態は,前期58%,中期52%,後期29%に合併し,次第に減少.より軽症の疾患が含まれる機会が増えていたが,これは心外奇形による紹介で心室中隔欠損など軽症心奇形診断が増加したためであり,スクリーニングで心奇形を疑われて紹介された症例に限ると経年的変化はなかった.【結論】近年先天性心奇形の胎児診断症例が増加しているが,新生児期に問題となる病態を持つ心奇形を診断するためには,3 vessel viewを含めたスクリーニング法の普及をさらに進める必要がある.

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