I-P-21
安価な遠隔地心エコー診断システムの構築
京都府立医科大学大学院医学研究科小児循環器・腎臓学1),まつだ小児科2)
問山健太郎1),松田義和2),糸井利幸1),岡建城1)

【はじめに】先天性心疾患では緊急的治療を要する疾患が多く,その場合,速やかな診断と治療方針決定が重要となる.一方,地域によらずに高度医療に対する社会のニーズが高いにもかかわらず,専門の小児循環器医はいまだ少なく,地域あるいは施設偏在性も強い.最近,IT技術の発達は目覚ましく光回線による高速インターネット通信網の普及が急速に進んでおり,これを利用して遠隔地の心エコー動画を転送し速やかに先天性心疾患の遠隔地診断を行う試みがなされつつあるが,その通信網に参加するためには多額の費用を要する.今回,われわれは安価なビデオサーバーを用いることで,低予算でエコー遠隔地診断を可能にする方法を考案し,その有用性を検討したので報告する.【方法】通信は本学附属病院診察室と京都市内の開業医,他府県の病院の小児科病棟との間で行った.送信側:エコーと高速回線(100~200Mbpsの光回線)で行った.エコーの映像出力端子にビデオサーバー(8~10万円)を接続し独自に設定を行う(送受信する信号は暗号化).この状態で心エコー検査を行うか,保存した動画を再生する.受信側:WindowsXp搭載パソコンと100Mbps光回線を使用した.IDとパスワードで送信側に設置してあるビデオサーバーに大学から接続し,エコー動画像を診察室のモニター画面で評価した.通話は通常の固定あるいは携帯電話を使用した.【結果】送信されたエコー動画像は解像度も良好で,診察室でのモニター上で行った診断・評価とその後に本院にて行った心エコー検査上での診断評価は一致した.【考察】本法では初期導入費用が10万円程度で光回線維持費のみの安価で精度の高い画像転送が可能となる.このネットワークを地域の開業医,診療所,病医院に広げることで遠隔地においても小児循環器専門医による必要,十分な診断を受けることができる.本法の普及が望まれる.

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