I-P-24
剣状突起下心臓超音波検査でのapico-caval juxtapositionの診断の限界
静岡県立こども病院循環器科1),心臓血管外科2)
佐藤慶介1),中田雅之1),北村則子1),増本健一1),早田 航1),金 成海1),満下紀恵1),新居正基1),田中靖彦1),小野安生1),坂本喜三郎2)

【背景】完全右心バイパス手術(TCPC)を行う際に,その導管の経路は周囲構造からの圧迫(椎体,食道など)や周囲構造への圧迫(肺静脈など)に留意しなければならない.特にapico-caval juxtapositionである児に対しTCPC行う際には,その導管の予定経路に構造物が多い.【目的】TCPC術前にapico-caval juxtapositionがあると判断した無脾症候群症例がTCPC導管を置く際に懸念された問題点を検討すること.【対象】対象は2001年 1 月~2008年12月の間に当院でTCPCを行った無脾症候群27例.【方法】術前の剣状突起下心臓超音波検査において,横隔膜レベルにおいて心房の向きと下大静脈の位置が同一方向であったものをapico-caval juxtapositionと定義した.術前のそれ以外の検査で判明した問題点や術中に懸念された問題点を診療録や手術記録より後方視的に検討を行った.【結果】27例中16例(59.3%)が術前にapico-caval juxtapositionと診断された.その中で,3 例が心外導管を置いた場合に導管の過度の屈曲,周辺構造への圧迫,周辺構造からの圧迫が懸念されたため,心内導管が選択された.3 例とも,下大静脈・肝静脈が離れた位置から独立して心房に入るなど,一塊にして切断することが不可能であった.残る13例は,横隔膜を超えたところで下大静脈が反対側に乗り換えるないしは正中に近くなるため通常の心外導管が選択し得た.【考察】剣状突起下でapico-caval juxtapositionであると判断しても,横隔膜を超えて心房付近を下大静脈が通過する際にjuxtapositionでないものもあり,通常行われる心外導管が選択し得るものもあるため,術前の超音波検査だけでなくCTなどにより立体的位置関係の把握をすることは重要であると思われた.

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