I-P-25
3Dエコーによる静脈管形状の検討—静脈管開存に対するコイル塞栓のアプローチについて—
東京大学医学部小児科
濱 猛浩,香取竜生,豊田彰史,小野 博,中村嘉宏

【背景】静脈管が閉鎖せず開存した場合,門脈―大静脈短絡のため肝障害,高アンモニア血症,脳症を来し静脈管の閉鎖が必要となることがある.今回われわれは静脈管開存の 1 症例に対しコイルによる塞栓を行い症状の改善を得ることができたが,コイル留置の際のアプローチの方法について工夫を必要とした.3Dエコーを用いた静脈管の形状の検討と合わせ報告する.【症例】純型肺動脈閉鎖,右ブラロック・タウシッヒシャント後の 3 カ月男児.体重3.7kg.静脈管開存を認め,肝障害,高アンモニア血症を呈したため静脈管のコイル塞栓を行った.右大腿静脈に留置したシースからではカテーテル先を静脈管内に固定することができず,右内頸静脈からアプローチしたところ容易に固定することができた.Flipper coil 5mm 3 loopsにて静脈管の塞栓を行い症状の改善をみた.2Dエコーでは下大静脈と静脈管の角度がそれほど鋭角でないものと考え大腿静脈側からアプローチしたが実際には心房側からのアプローチが必要であったことを踏まえ,3Dエコーにより静脈管の形状の評価ができるか検討した.【方法】Philips社製iE33およびX7-2プローブを使用し,静脈管,肝静脈,下大静脈,右心房の3Dエコーを行った.【対象】上記症例および当院NICUにて心エコーを行った症例のうち静脈管開存を認めた 5 症例.日齢 0~2,平均体重3.1kg.【結果】全例において良好な3D画像を構築することができた.3Dエコーでは自由な断面像を得られるため下大静脈と静脈管を同一平面に描出することで正確な角度を容易に測定することができた.【考察】静脈管は肝臓を通して比較的良好な2Dエコーを得ることができるため良好な3D画像を容易に得ることができた.コイルのみならずステント留置等,インターベンションを行う際の検討に3Dエコーは有用であると考えられた. 

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