I-P-27
小児特発性心室性不整脈患者のカテーテルアブレーション治療—単施設での治療経験—
日本赤十字社和歌山医療センター心臓小児科1),北野病院小児科2)
吉田葉子1,2),西田 仁2),尾崎智康1),芳本 潤1),福原仁雄1),豊原啓子1),渡辺 健2),中村好秀1)

【背景】小児期特発性心室性不整脈に対する高周波カテーテルアブレーション治療(CA)は普及しつつあるが明確なガイドラインはなく患者臨床像や治療成績・予後についてのデータは少ない.【目的】当施設においてCAを行った小児特発性心室性不整脈患者の臨床像と治療成績を提示すること.【方法】対象は2006年 4 月~2008年10月の 2 年 8 カ月間に当施設にCA目的で入院した18歳以下の小児特発性心室頻拍・心室期外収縮の37名.CA適応は心室早期興奮が約30%以上,BNP上昇など心機能異常の存在,運動制限解除のための患者希望とした.【結果】性別は男21女16,発症年齢中央値7.8(0.1~13.6)歳,CA時年齢中央値12.4(2.2~16.6)歳,発症から入院まで中央値1.3(0~10.6)年,体重中央値35.7(12~80)kg.持続性心室頻拍9/37(24%),非持続性心室頻拍22/37(59%),心室期外収縮6/37(16%).CA前の抗不整脈薬治療は22/37(59%),β遮断薬が最多で19/22(86%).6 歳以上の31/32(97%)が運動制限をうけていた.自覚症状は9/37(24%)にあり,失神・心不全症状は4/37(10%).BNP上昇(> 20pg/ml)は15/35(40%)にみられた.37症例,41カ所の発生起源部位は,右室側は流出路22(54%)・流入路 4(9.8%)・心外膜側 1(2.4%)・三尖弁輪 1(2.4%)・肺動脈 1(2.4%).左室側は中隔 5(12%)・流出路 3(7.1%)・心外膜側 4(9.8%).術中全く不整脈がなかった 1 例を除く36例にのべ38セッションを施行.合併症は完全右脚ブロック2/38(5.3%)を認めた.急性効果は28/36(78%)で得られ,3 カ月後ホルター心電図を行った29例で不整脈完全消失19,部分消失 3,再発 4,不変 3 だった.経過観察 3 カ月以上の35例で,最終フォローアップ時抗不整脈薬投与は3/35(8.6%),運動制限ありは5/32(16%)だった.【考案】小児期特発性心室性不整脈に対するCAは安全かつ有効な治療であり,運動制限や投薬を受けている場合にはQOL改善のために患者に適応説明をする必要があると考えられた.

閉じる