I-P-31
新生児期に発症した不整脈の検討
岐阜県総合医療センター小児循環器科1),小児心臓外科2)
後藤浩子1),桑原直樹1),面家健太郎1),桑原尚志1),大倉正寛2),八島正文2),竹内敬昌2)

【目的】新生児期発症の不整脈について,その病型・臨床像・中期的予後を検討する.【対象】1999~2008年の間に不整脈を主訴に当科に入院となった新生児14例について後方視的に検討した.入院時平均日齢8.1(0~30)日,入院時平均体重2,783(2,234~3,335)g,不整脈の種類は,(1)房室ブロック 3 例,(2)先天性QT延長症候群 3 例, (3)頻脈性不整脈 8 例であった.胎児診断例は 9 例(64%)であった.【結果】全例生存.(1)房室ブロックは完全が 2 例,II度が 1 例であり 3 例とも母体抗SS-A抗体陽性であった.II度の症例は 1 年後に自然軽快となった.完全房室ブロックの 1 例でペースメーカー埋め込みを 3 歳時に行った.(2)先天性QT延長症候群は 3 例とも 2:1 房室ブロックを呈しメキシチールを中心に内服開始としたが,新生児期にTdP・VF発症が 1 例,乳児期にVF蘇生が 1 例であった.VF蘇生後の児にはICD埋め込みを 2 歳時に行った.(3)頻脈性不整脈はAVRT 3, AT 3, AF 2 であった.早期にカテーテルアブレーション介入となったのはAVRT 1 例で治癒.AFは初回DC後,再発例なく内服なし.そのほかは内服開始したのちに発作が消失し中止となった.そのほか発症時tachycardia induced cardiomyopathy,DIC合併がAVRT 1 例,心筋炎・心筋症合併がAT 1 例であった.器質的心疾患の合併は 4 例でありVSD/LQTS, VSD + PS/LQTS,Ebstein anomary/AVRT, TAPVC/AFであった.VSD/LQTSとTAPVC/AFで心内修復術を行ったが,周術期に発作は起きなかった.【結語】 新生児期発症の不整脈のうち房室ブロック,先天性QT延長症候群では生命危険回避を目的とした治療介入することがあり,長期的展望で方針を検討する必要があった.頻脈性不整脈では自然消失傾向を示すいっぽうで,doramaticな心筋症や心筋炎の発見の契機となることがあり慎重な観察が必要であった.

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