I-P-35
小児期致死性不整脈に対するペースメーカー治療
国立循環器病センター小児循環器診療部1),心臓血管外科2)
花山隆三1),坂口平馬1),宮崎 文1),豊田直樹1),山本雅樹1),鳥越 司1),石原温子1),平田拓也1),黒嵜健一1),萩野生男2),大内秀雄1)

【背景】致死性不整脈に対するペースメーカー(PM)治療の果たす役割は成人領域では拡大しているが,小児期での薬物治療とPM/ICD治療の併用療法は報告が少ない.【目的と方法】致死性不整脈の薬物治療とPMの併用療法を要した小児例 (QT延長症候群(LQT)2 例,カテコラミン誘発性多源性心室頻拍(CPVT)1 例)の管理上の問題点を報告する.【結果】症例 1:1.8歳,LQT 3 症例.Torsades de pointes(TdP),心停止の既往あり.メキシレチン,プロプラノロール投与後も,TdP,心房細動出現し,11カ月時ICD植え込み施行.期外収縮後のRR間隔延長防止のため,PM設定をDDD 100としていたが,V blanking after A pace内にPVC出現,spike on Tとなり,多源性非持続性心室頻拍が誘発された.DDD 100からDDI 95(AV delay 200ms),V blanking after A pace 65msを45msに変更.心房細動に対しベラパミル追加し,現在までICD作動はない. 症例 2:2.3歳,LQT 2 症例.QT延長に伴う2:1 AV blockあり,1 カ月時PMI(VVI 110)施行.その後,QTc延長あり,プロプラノロール内服開始.V pacing後にT wave alternation頻発し,VVI 70に変更.熱発時に一過性にsensing不全あり,spike on Tがみられ,感度を調整した.現在まで失神やTdPの既往はない.症例 3:8.8歳,CPVT症例.失神の既往あり,多源性心室頻拍,心房頻拍,最大 6 秒の洞停止あり.徐脈に対し8.1歳時,PMI(AAI)施行,頻拍に対しβ遮断薬,ベラパミルを内服開始.現在,プロプラノロール9.4mg/kg/日,ビソプロロール0.4mg/kg/日,ベラパミル3.3mg/kg/日内服し,現在まで失神の既往はない.【結語】乳児は心拍応答が良好で,自己脈のある患児にPM治療を行うには慎重な経過観察が必要である.RR間隔の短い乳児のblanking設定は慎重にすべきである.乳児では炎症性疾患は一般的にみられるが,それに伴いsensing閾値が変動した症例もあり,細やかなデバイス管理や心電図フォローが重要である.

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