I-P-37
乳児難治性心房頻拍 2 例に対するbepridilの使用経験
順天堂大学医学部附属練馬病院小児科1),順天堂大学医学部小児科2)
福永英生1,2),秋元かつみ2),稀代雅彦2),高橋 健2),新島新一1),清水俊明2)

【目的】小児においてbepridilによる治療報告は少ない.多剤抵抗性の乳児心房頻拍(AT)にbepridilが有効だった 2 症例を経験したので報告する.【症例 1】日齢40,女児.1 カ月健診時に頻拍を指摘され受診.入院時HR 230bpmのATと診断された.ATP,digoxin,verapamil,propranorol,DCに抵抗性であったが,bepridil 2mg/kg/day投与開始後 6 時間で洞調律となった.内服継続にて再発なく,副作用は認めなかった.1 歳時に投薬中止したが以後再発はない.【症例 2】日齢90のCostello症候群の女児.日齢30よりHR 220bpmの頻拍持続し,多源性ATと診断した.Digoxin,propranorol,carteorolを順次投与したがコントロール不良であったため,日齢90よりbepridilを 5mg/kg/dayより投与開始した.徐々に増量し投与開始後10日,9.5mg/kg/dayで頻脈が改善された.現在 1 歳で投薬を継続しているが心電図上はほぼ洞調律で心拍コントロールも良好であり,副作用は認めていない.【考察】Caチャネル阻害,Kチャネル阻害作用,Naチャネル阻害作用を有するbepridilは,心収縮能低下や血圧低下,QT延長や徐脈などの不整脈誘発が危惧され,従来乳児期早期には選択しにくい薬剤である.また成人の報告では間質性肺炎,無顆粒球症など重篤な副作用もある.今回の 2 症例では多剤に抵抗性のため投与を開始したが,心収縮能低下やその他の副作用は認められずATをコントロールできた.乳児期のATに対して多剤でコントロール不能な場合は,bepridilの使用も選択肢として有効であると思われる.

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