I-P-40
エンサイトシステムを使用したカテーテルアブレーション治療の検討
社会保険中京病院小児循環器科1),循環器科2)
大橋直樹1),松島正氣1),西川 浩1),久保田勤也1),吉田修一朗1),坪井直哉2)

【背景】カテーテルアブレーション治療(ABL)に際して,CARTOシステム,エンサイトシステムなど,不整脈の機序解明のアプローチが多様になってきており,これらのテクノロジーの進歩によって,ABL治癒率の向上が期待されている.CARTOシステムは,頻拍が持続すること,頻拍時に血行動態が安定していることが必要となるが,エンサイトシステムではその必要はないといわれている.【目的】ABLでのエンサイトシステムの有用性,有意性を明らかにすること.【結果】当科でエンサイトシステムを使用してABLを試みたのは 8 例.エンサイトシステムを使用した理由は,(1)局所性の頻拍が疑われ非持続性の可能性がある,(2)基礎疾患があり複数に興奮旋回路を持つ頻拍の可能性がある,の 2 点で,(1)を満たしたのは 5 例,(2)は 3 例.臨床診断は,心房粗動(AFL)2 例,局所性心房頻拍(focal AT)4 例,右流出路起源心室頻拍(RVOT VT),リエントリー性心房頻拍(macro AT)が各 1 例.基礎疾患を有した 3 例の臨床診断はAFL 2 例,macro AT 1 例で,フォンタン手術後 2 例,心室中隔欠損術後 1 例.ABL前の最終診断はAFL 1 例,focal AT 4 例,RVOT VT 1 例,macro AT 2 例(ともに多形性).基礎疾患を有したAFLの 1 例で臨床診断と最終診断が異なった.ABLの成否は,focal ATの 1 例でヒス束近傍が起源のためABLは施行できず, 3 例で成功.RVOT VT,AFLは成功.macro AT(多形性)の 2 例は不成功.【考察】focal AT,RVOT VTは非持続性でABL時に頻拍が出現しないことをしばしば経験するが,エンサイトシステムはそういった状況でも十分な成果を発揮することが可能と考えられた.一方,多様なmacro ATの 2 例は,フォンタン手術後で,不整脈基質(心房筋)の特性なども治療の困難性に影響を与えていると考えられた.【結論】基礎疾患を有する場合の複雑多様な不整脈に対して,エンサイトシステムを使用してのABL治癒率の向上が課題である.

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