I-P-44
当院における小児房室回帰性頻拍に対するフレカイニド使用症例の検討
横浜市立大学附属病院小児循環器科
渡辺重朗,市川泰広,山口和子,西澤 崇,岩本眞理

【背景】房室回帰性頻拍はカテーテルアブレーションの良い適応であるが,小児例では年齢やその他の状況により薬物治療が選択される.薬物治療においては,通常の房室伝導路あるいは副伝導路という二つのターゲットが考えられるが,1c群薬であるフレカイニドは副伝導路を抑制することにより房室回帰性頻拍に対し有効であると考えられる.【目的・方法】2005~2008年に当院において小児房室回帰性頻拍に対しフレカイニド投与を行った 8 症例を後方視的に検討した.【結果】症例は 8 症例,男児 1 例女児 7 例,フレカイニド投与開始時の年齢は日齢 6~8 歳,平均4.9歳,顕性副伝導路が 2 例,間歇性副伝導路が 2 例,潜在性副伝導路が 4 例であった.発作頻度減少および持続時間の短縮が明らかで救急外来受診が基本的になくなったものを有効とした場合,全例が有効と考えられ,うち 5 例で併用薬を必要とした.併用薬はソタロール 3 例,プロプラノロール 1 例,ジゴキシン 1 例であった.投与量は 2~5mg/kg/dayで使用していたが,有効血中濃度( > 200ng/ml)に到達するためには 3~5mg/kg/dayの投与を必要とした.副作用は肝機能障害を 1 例に認め,全例ともQT延長を認めなかった.【考察】当院では小児房室回帰性頻拍の薬物治療には,フレカイニドが第一選択薬として用いられており有効性は高い.有効血中濃度を得るには 3mg/kg/day以上の投与量が必要と考えられる.無効例に対してはソタロールが選択される.

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