I-P-72
Fontan術後のうっ血性肝障害
大垣市民病院小児循環器科
都間佑介,太田宇哉,西原栄起,倉石建治,田内宣生

【はじめに】Fontan術後にうっ血性肝障害,肝硬変を合併した例が近年報告されている.【目的】当院で経過観察中のFontan術後患者の肝障害につき検討を行うこと.【対象・方法】1992年 7 月~2008年 3 月の間でFontan術が施行された25例.性別は男子12例,女子13例.年齢は 3~20歳(中央値14歳).術後年数は 1~13年(中央値 7 年).術式はtotal-cavopulmonary connection(TCPC)21例,atrial-pulmonary connection(APC) 4 例(術後 8 年目にTCPC変換を行った 1 例も含む).【結果】血液検査でトランスアミナーゼの上昇が 2 例,γGTPの上昇が 8 例であり,血球減少を認めた例はなかった.肝線維化マーカーではヒアルロン酸の上昇が 6 例,4 型コラーゲン7Sの上昇が19例であった.腹部超音波検査で肝臓に異常所見を認めたのは 9 例,うち 2 例は肝硬変の所見が得られた.心臓カテーテル検査を行い得た16例で下大静脈圧は 7~20mmHg(中央値は15mmHg)だった.すべての症例で治療は行わず経過観察中である.【考察】Fontan術後には慢性的な心拍出量の低下と血流のうっ滞により肝障害を生じると考えられている.今回の検討では静脈圧の上昇がないにもかかわらず肝硬変の診断に至った例もあり,積極的な検査が必要と考えられた.【結論】Fontan術後に合併するうっ血性肝障害の予後や治療に関しては不明な点も多く,今後さらなる検討が求められている.

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