I-P-76
心臓外科手術を受けたWilliams症候群—成人期の僧帽弁閉鎖不全 2 例を中心に—
天理よろづ相談所病院小児循環器科1),心臓血管外科2),京都大学医学部心臓血管外科3)
松村正彦1),吉村真一郎1),関根裕司2),山中一朗2),池田 義3)

【背景】Williams症候群の心臓外科手術,特に僧帽弁閉鎖不全(MR)の報告例は少ない.【対象】当院で手術を受けた 7 症例.【結果】(症例 1)40歳女性.11歳時は大動脈弁上狭窄(SVAS)圧較差62mmHg.18歳時100mmHgと進行しDoty手術.22歳時SVAS 2mmHgであるも,僧帽弁逸脱(MVP)によるMRに気づかれた.今回,心房細動(Af)から心不全悪化し,僧帽弁人工弁置換術.(症例 2)39歳女性.7 歳時はSVAS 39mmHg.15歳頃から僧帽弁逸脱によるMRあり,26歳時にAfから心不全悪化した.SVAS 42mmHgであったが,巨大左房と重度のMRを認め,僧帽弁輪形成 + Doty手術 + 左房縫縮 + Maze手術.MR軽度遺残あるも,SVAS心エコー上16mmHg.(症例 3)36歳女性.4 歳時にSVAS軽度 + 左右肺動脈低形成 + VSDの診断.6 歳時脳膿瘍.12歳時左右肺動脈発育認め,ファロー四徴(TOF)と診断され修復術.19歳時術後カテは肺動脈狭窄および閉鎖不全軽度で,SVAS 10mmHgであるが,高血圧にて降圧剤内服中.(症例 4)25歳男性.4 歳時はSVAS 22mmHg.14歳時63mmHgと進行しDoty手術.SVAS心エコー上 9mmHgであるが,高血圧にて降圧剤内服中.(症例 5)25歳男性.当初肺動脈狭窄としてフォローされたが,17歳時SVAS 106mmHgに気づかれDoty手術.術後SVAS心エコー上 6mmHgで,中等度の大動脈弁閉鎖不全.(症例 6)3 歳男児.6 カ月時SVAS 18mmHg.今回40mmHgに進行しBrom法(three sinus reconstruction)手術.(症例 7)2 歳男児.SVAS 59mmHgを認めDoty手術.3 歳半時,ロタウィルス感染症で他院入院翌日死亡.SVASいずれも砂時計型.肺動脈狭窄への手術介入なし.【結論】(1)MR 2 例,SVAS 6 例,TOF 1 例の手術が施行された.(2)MVPによるMRを認め,成人期にAfから心不全悪化での手術症例が 2 例あった.(3)SVAS手術にかかわらず高血圧にて降圧剤内服が 2 例あった.(4)発達遅滞のため自覚症状乏しく病状把握困難で注意を要する.

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