日本小児循環器学会雑誌  第24巻 第4号(511-513) 2008年

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著者

中田 利正

所属

青森県立中央病院小児科

要旨

背景:γグロブリン療法(IVIG)反応川崎病の冠動脈病変については不明な点が多い.
目的:IVIG反応川崎病における冠動脈病変の臨床的特徴を明らかにすること.
対象:1991~2005年に発症し急性期治療としてIVIG投与を受けたIVIG反応川崎病120例.
方法:後方視的検討.
結果:IVIG投与を受けた川崎病132例中反応例は120例(91%)であった.一過性拡大を含む急性期冠動脈拡大性病変合併例は23例(19%),30病日における冠動脈病変残存例は 8 例(7%)であった.急性期最大冠動脈内径は 5mmで巨大冠動脈瘤合併例はなかった.発症から 5 年後の冠動脈病変残存例は 1 例(1%)であった.この 1 例は再発例で,発症から 3 年11カ月後の選択的冠動脈造影による評価では,右中等度瘤を認めたものの狭窄性病変はなかった.
結論:IVIG反応川崎病における冠動脈病変の転帰は良好であるが,再発例では遠隔期冠動脈病変残存リスクに注意が必要である.

平成19年8月20日受付
平成20年2月12日受理

キーワード

Kawasaki disease,coronary arterial lesion,gammaglobulin

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青森県立中央病院小児科 中田 利正