日本小児循環器学会雑誌  第25巻 第1号(56-60) 2009年

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著者

加藤 愛章1),堀米 仁志1),高橋 実穂1),徳永 千穂2),平松 祐司2),仁科 秀崇3),舩山 康則4)

所属

筑波大学大学院人間総合科学研究科・臨床医学系小児内科1),心臓血管外科2),筑波メディカルセンター病院循環器内科3),筑波学園病院呼吸器内科4)

要旨

空洞を伴う肺非結核性抗酸菌症を合併した成人チアノーゼ性先天性心疾患の症例を報告する.症例は右胸心(内臓心房位正位),両大血管右室起始,肺動脈狭窄,左室低形成,僧帽弁閉鎖,心房中隔欠損の両方向性Glenn手術後でチアノーゼのある23歳,男性.2~3 カ月前から嗽咳,微熱が続いていた.胸部単純X線写真では肺野の異常は指摘されなかったが,CTで左肺上葉に空洞がみられ,喀痰から検出された抗酸菌同定の結果,Mycobacterium kansasii(M. kansasii)感染と診断された.抗菌剤内服治療で嗽咳と微熱は消失した.非結核性抗酸菌,特にM.kansasii感染は結核と類似した症状を呈し,患者数は全世界で増加傾向にある.チアノーゼ性先天性心疾患は肺結核だけでなく肺非結核性抗酸菌症のリスクが高い可能性があり,嗽咳や痰,微熱が長引く場合は胸部CT検査とポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction:PCR)を含めた迅速な細菌学的検索が必要である.

平成20年6月5日受付
平成20年12月3日受理

キーワード

nontuberculous mycobacterium,Mycobacterium kansasii,tuberculosis,cyanotic congenital heart disease

別冊請求先

〒305-8575 茨城県つくば市天王台 1-1-1 筑波大学大学院人間総合科学研究科・疾患制御医学専攻小児内科学分野  加藤 愛章