日本小児循環器学会雑誌  第25巻 第2号(146-149) 2009年

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著者

豊田 泰幸,木村 光裕,西野 貴子,打田 俊司,原田 順和

所属

長野県立こども病院心臓血管外科

要旨

孤立性に発症した極めてまれな肺静脈閉鎖の 1 例を経験したので報告する.症例は 3 歳女児で反復する原因不明の喀血を主訴に来院した.既往歴として動脈管開存症(patent ductus arteriosus:PDA)に対して生後 3 カ月時にclippingによる動脈管閉鎖術を施行しているほかは心奇形の合併はない.胸部造影CT(computed tomography)検査,心臓カテーテル検査を施行し左肺静脈閉鎖と診断した.心臓カテーテル検査時の左肺動脈楔入圧は26mmHgと高値であった.喀血の原因は左肺静脈閉鎖による左肺動脈末梢圧亢進に伴う末梢血管の破綻と考えられ,手術が必要と判断した.手術は体外循環使用,心肺停止下に左肺静脈と左心耳を吻合する方法を採用した.術後は喀血を認めておらず,良好な経過である.

平成20年4月28日受付
平成20年12月12日受理

キーワード

pulmonary vein atresia,hemoptysis

別冊請求先

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東京女子医科大学心臓血管外科 豊田 泰幸