日本小児循環器学会雑誌 第26巻 第1号 2010年

埼玉医科大学国際医療センター小児心臓外科
加藤木利行

このたび,中西敏雄先生が理事長に就任されたために,私が編集委員長の後任をおおせつかりました.
 小児の心臓疾患をテーマとする学会誌は世界的にも少なく,成り立ちにくいことを示しております.そんななかでこの日本小児循環器学会雑誌が,研究会の時代を含めて26年目を迎えることができたのは先輩たちの熱意と無償の努力によるものと思います.
 しかし,本誌は残念ながら,いまだにPubMed収載がかなっておりません.impact factorにいたっては,はるかな目標というところです.小児科医4名外科医3名の新編集委員会がまず当面の目標に定めましたのは,このPubMed収載であります.そのためには,編集上の変革が必要であります.今まで学会の総会・学術集会抄録号を通常号との連続で収録しておりましたし,総会議事録や地方会・関連研究会の抄録を掲載しておりましたが,これらをpeer review journalである学術誌の通しページから外して別冊として発行する必要があります.今までは総会号を含めて年に6回発行しておりましたが,今後は年6回の隔月誌としまして,総会号や議事録・抄録号は別冊として発行したいと考えております.そのためには,会員の皆様には今まで以上に多数のご投稿をいただきたくお願い申し上げます.
 最近の小児循環器疾患の治療においては,胎児エコー診断の普及による早期発見,出生時からの治療介入,新生児手術の成績向上,カテーテル治療の進歩等によっていっそう多くの重症新生児が助かるようになってきました.これらの患者は,どうしても入院期間が長くなりますし,その後の治療もstaged surgeryが必要です.経過中にカテーテル治療を受けることも以前より増えています.それらに伴って小児循環器疾患症例全体に対する収容能力の不足が多くの場面で問題となっております.
 このように社会における小児循環器疾患の治療の在り方につきましても,日本小児循環器学会の役割は重要であります.本誌が日本小児循環器学会の目指す方向を常に表して,社会への窓口として広く読まれるようになりますように編集委員一同が努力してまいります.