日本小児循環器学会雑誌  第26巻 第1号(67-72) 2010年

著者

岩本 眞理1),西澤 崇1),渡辺 重朗1),市川 泰広1),志水 直1),山口 和子1),赤池 徹2),横山 詩子2),瀧聞 浄宏3),佐近 琢磨4),安井 清5),柴田 利満6),新村 一郎7),横田 俊平8)

所属

横浜市立大学附属病院小児循環器科1),横浜市立大学医学部循環制御医学2),長野県立こども病院循環器科3),藤沢市民病院小児科4),やすい医院5),しばた医院6),新村医院7),横浜市立大学医学部小児科8)

要旨

背景:QT延長症候群(以下LQTS)における症状(失神・心停止・突然死等)の誘因には運動・精神的緊張・睡眠中などのタイプが知られている.運動誘発性発作を呈するLQTSでは運動によるQTの心拍応答が不良である.そこで,運動負荷心電図における特徴について検討した.
方法:運動誘発性発作を呈するLQTS 10例とコントロール10例(川崎病後正常冠動脈例)に運動負荷心電図を施行し心電図上の各指標(RR間隔・QT間隔・QT peak:QTp・T peak-end:Tp-e)を計測しFridericia法にて心拍を補正し比較検討した.
結果:LQTS全例で負荷前に比してQTcは増大し回復期2~3分に最大(安静時の17%増加)となった.コントロール例では運動によるQTcの増大はみられなかった.Tp-e cもLQTSでは運動後に増大したがβブロッカー投与後に改善がみられた.
結論:運動誘発性の発作を呈するLQTSでは特徴的な運動負荷心電図を呈し,その所見は運動によって誘発されるtorsades de pointesの重要な因子と考えられる.

平成19年8月29日受付
平成21年10月5日受理

キーワード

long QT syndrome,exercise ECG,Fridericia formula,T peak-end

別冊請求先

〒236-0004 横浜市金沢区福浦 3-9 横浜市立大学附属病院小児循環器科 岩本 眞理