日本小児循環器学会雑誌  第26巻 第2号(153-160) 2010年

全文PDF

著者

河田 政明

所属

自治医科大学とちぎ子ども医療センター小児・先天性心臓血管外科

要旨

総肺静脈還流異常(TAPVC)は新生児期手術対象となる代表的疾患で,術後の心不全や肺高血圧(発作),肺静脈狭窄などの問題から手術手技だけでなく,周術期管理の知識や合併症への対応など広く習熟することが必要である.手術では共通肺静脈と左房とのねじれのない大きな吻合の作製のために,共通肺静脈の形態に応じたアプローチの選択による良好な視野の確保がよい手術の要点となる.左室・左房の負荷増大のため心拍数・房室協調の調節,血管拡張薬を中心とする各種薬剤の使用,容量負荷軽減のための人工心肺管理・MUF(modified ultrafiltration)・PD(peritoneal dialysis)・二期的胸骨閉鎖や水分管理の応用,肺高血圧発作の予防と管理など周術期管理も同様に重要である.術後肺静脈狭窄は予後不良であり,早期の発見,早期のsutureless pericardium法による修復に成績向上の期待が持たれ,近年では複合型に対する初回術式としての意義も知られつつある.
全文

キーワード

total anomalous pulmonary venous connection,pulmonary venous obstruction,pulmonary hypertensive crisis,sutureless pericardial repair,neonatal cardiac surgery

別冊請求先