日本小児循環器学会雑誌  第26巻 第2号(183-186) 2010年

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著者

古屋 秀和1),枡岡 歩1),岩崎 美佳1),鈴木 孝明1),,先崎 秀明2),小林 俊樹2),加藤木 利行1)

所属

埼玉医科大学国際医療センター小児心臓外科1),小児心臓科2)

要旨

原発性心臓腫瘍は剖検例の約0.002~0.03%に認められ,通常は60歳代以上の中高年者に多いとされており小児期に発生した報告例は少ない1,2).われわれは,原発性心臓腫瘍(乳頭状線維弾性腫)の小児例を経験したので報告する.症例は10歳女児.心雑音精査のため心臓超音波検査を行ったところ,右室内に腫瘤を指摘された.有茎で可動性を伴う大きな心臓腫瘍と診断し,三尖弁に嵌頓することによる突然死を危惧したため準緊急手術を施行した.腫瘍は三尖弁から発生しており,細かい乳頭状突起に覆われていた.腫瘍摘出術および三尖弁形成術を施行し,現在までに再発は認めていない.病理所見からpapillary fibroelastoma(PFE)と診断された.PFEの中でも,小児期に発生するものは稀であり,さらに三尖弁発生となると非常に稀と考えられた.

平成21年7月14日受付
平成21年11月26日受理

キーワード

papillary fibroelastoma,pediatric cardiac tumor,tricuspid valve

別冊請求先

〒350-1298 埼玉県日高市山根1397-1 埼玉医科大学国際医療センター小児心臓外科 古屋 秀和