日本小児循環器学会雑誌  第26巻 第5号(400-406) 2010年

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著者

小川 潔,飯島 正紀,伊藤 怜司,河内 貞貴,菅本 健司,菱谷 隆,星野 健司

所属

埼玉県立小児医療センター循環器科

要旨

背景:小児期の心疾患に対する血栓防止にはaspirinが推奨されているが,aspirin単独では必ずしも十分ではない.成人領域ではclopidogrelやticlopidineなどの抗血小板薬の有用性と安全性が確認されている.しかし,小児期心疾患に対するticlopidineの有用性と安全性を検討した報告はない.
方法:心疾患を伴った小児87例を対象に,年齢によって3群に分け,投与量とADP添加血小板凝集抑制との関係,有効性,副作用について後方視的に検討した.
結果:投与量は1.0~7.4 mg/kg/dayで,各年齢群ともに投与量と血小板凝集抑制に相関は認められなかった.短絡手術後の2例で血栓が出現していた.副作用としての重篤な出血や消化器症状を認めた例はなかった.長期投与中に血小板減少を示した例が6例認められた.
結論:Ticlopidineの投与量は従来報告されている量よりも少なくても十分であり,有用である.長期投与中の血小板減少に留意する必要がある.

平成21年11月30日受付
平成22年8月12日受理

キーワード

ticlopidine,antithrombotic therapy,antiplatelet drug,Fontan procedure,systemic to pulmonary artery shunt

別冊請求先

〒339-8551さいたま市岩槻区馬込2100 埼玉県立小児医療センター循環器科 小川  潔