日本小児循環器学会雑誌  第26巻 第5号(423-427) 2010年

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著者

田中 敏克1),齋木 宏文1),富永 健太1),藤田 秀樹1),城戸佐知子1),大嶋 義博2)

所属

兵庫県立こども病院循環器科1),心臓血管外科2)

要旨

症例は14歳女児.両大血管右室起始,肺動脈閉鎖,動脈管開存の診断で4歳時にラステリ手術および左右肺動脈形成術が施行された.その後,心エコーで肺動脈狭窄の進行を認めたため,心臓カテーテル検査を施行したところ,両側の肺動脈分岐部狭窄を認め,右室圧は体血圧の56%となっていた.両側の肺動脈狭窄に対し,高耐圧バルーンでバルーン血管形成術(BAP)を施行した.右肺動脈を拡張した直後から酸素飽和度が100%から90%へ低下し,右肺動脈造影で左房への交通が確認された.BAPの合併症として,右肺動脈-左房交通はきわめて稀であるが,注意すべき合併症の一つである.

平成21年12月3日受付
平成22年6月8日受理

キーワード

balloon angioplasty,complication,right pulmonary artery to left atrium communication

別冊請求先

〒654-0081兵庫県神戸市須磨区高倉台1-1-1 兵庫県立こども病院循環器科 田中 敏克