日本小児循環器学会雑誌 第27巻 第4号(176-181) 2011年

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著者

岩朝  徹1),伴 由布子1),土井  拓2),門前  一3)

所属

大津赤十字病院小児科部1),京都大学医学部附属病院小児科2),大津赤十字病院放射線部3)

要旨

背景:成人の循環器領域では総検査時間を短縮させた安静時先行アデノシン負荷99mTc-tetrofosmin(99mTc-TF)シンチグラムがすでに行われている.99mTc-TFはS/N比の高い像を得られるうえ,201Tlに比べて被ばく量が少なく済み,定量的な解析が可能である.加えて1時間程度で検査が終了できるため,小児においてもメリットが大きいと考えられる.
方法:川崎病罹患後の小児7例に対し,総検査時間短縮安静時先行99mTc-TF負荷心筋血流シンチグラムを施行し,総検査時間を測定するとともに,副作用の評価を行った.施行に際しては小児に合わせ,放射線治療に使用する固定具を使用する工夫を行った.
結果:施行した全例において心機能評価が十分可能な鮮明な像を得ることができた.総検査時間は平均77分間と短く,201Tl使用時に比べて3分の1程度であった.確認された副作用は1例のみで,2度目の99mTc-TF投与時のアデノシン早送りによると思われる一過性の軽度の心拍数上昇のみであった.
結論:総検査時間短縮アデノシン負荷安静時先行99mTc-TF負荷心筋血流シンチグラムは小児においても診断に十分な画質の画像を得られるとともに,総検査時間の短縮が可能であった.

2011年1月5日受付
2011年5月16日受理

キーワード

stress myocardial perfusion scintigram, adenosine, 99mTc-tetrofosmin

別刷請求先

〒565-8565 大阪府吹田市藤白台5-7-1
国立循環器病研究センター小児循環器科 岩朝  徹