日本小児循環器学会雑誌 第27巻 第5号(242-248) 2011年

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著者

桑原 直樹1),面家健太郎1),後藤 浩子1),金子  淳1),寺澤 厚志1),桑原 尚志1),大倉 正寛2, 3),野間 美緒2),岩田 祐輔2),竹内 敬昌2)

所属

岐阜県総合医療センター小児循環器内科1),小児心臓外科2),東京女子医科大学心臓血管外科3)

要旨

拡張型心筋症の小児2例(1歳男児および1歳女児)に対して,心臓再同期療法(cardiac resynchronization therapy: CRT)を施行した際に,ペースメーカ植込み術中経食道エコー(TEE)を用いたスペックルトラッキング法評価を行い,至適ペーシング部位を決定し,有用であったので報告する.乳頭筋レベル左室短軸断面のpeak radial strainまでの時間を測定し,最遅延部位を左室ペーシング部位に決定後,両室ペーシング施行下で各セグメントのpeak strainまでの時間の最大最少差が最短となる位置を右室ペーシング部位と決定した.TEEを用いたスペックルトラッキング法はプローブの位置を固定し,術者の妨げにならず繰り返し同期不全評価が可能であった.2例ともにCRT施行後の経過は良好であった.CRT無効例の中には至適でない部位でのペーシング症例があり,任意の場所に植込み可能な小児では術中TEEによる同期不全評価が有用であった.

2011年1月28日受付
2011年8月17日受理

キーワード

cardiac resynchronization therapy, dilated cardiomyopathy, dyssynchrony, speckle-tracking strain analysis, transesophageal echocardiography

別刷請求先

〒500-8717 岐阜県岐阜市野一色4-6-1
岐阜県総合医療センター小児循環器内科 桑原 直樹