理事長 山岸敬幸とファシリティドッグ「アイビー」

日本小児循環器学会理事長
山岸敬幸
(2025年1月15日)

 新年あけましておめでとうございます。

 震災で明けた昨年から、また新たな年が明けましたが、被災地の皆様の平穏はいまだ半ばとうかがっています。現地の診療に携わられている医療従事者の方々に敬意を表しますとともに、皆様の安心・安全を心よりお祈り申し上げる次第です。

 さて、「Academic for Social」を掲げる私と今期理事会の任期もいよいよ残すところ半年となりました。学会が果たすべき大きな役割として、学術的かつ社会的に質の高い教育により次世代を育成することに力を入れて走ります。今年はいよいよ、「小児循環器専門医」の日本専門医機構認定申請も進みます。同時に学会認定専門医の維持についてもしっかりと議論し、専門医の皆さんが診療・教育・研究に長く活躍していただけるように制度設計を検討していきます。今年、新たに専門医になられる方、維持・更新される方、皆、「小児循環器専門医」の誇りを胸に、わが国の安心・安全な専門診療を支えていきましょう。

 同時に、わが国が世界に誇る先天性心疾患手術成績を次世代に継承して維持・発展することも、学会の大きな使命です。外科系を中心として開始された「小児心臓血管外科医生涯育成プログラム」事業は、「あけみちゃん基金」からの資金援助を受けて今年大きく進みます。小児心臓外科医の、(心臓大血管を)三次元的に作り替えて治すという「極めて創造的な医療で命を救う」ところに、「やりがい」と「かっこよさ」を感じます。一人一人のこどもの今と明るい未来を考えて、小児循環器医と小児心臓外科医が真剣な議論を交わし、チームとして成長するためにも、小児心臓外科医の育成プログラムは「小児循環器専門医」制度と表裏一体、一心同体で進め、継承し、そしてさらに進化させていくべきものであると思います。そして、この課題に密接に関連する「先天性心疾患の手術を行う施設の集約化(地域拠点化)」が、いよいよ熱を帯びて展開します。

 学会の教育コンテンツの一つとして、昨年、教科書「小児・成育循環器学」を5年ぶりに改訂しました。「小児循環器専門医」のカリキュラムに基づいた構成を踏襲し、各章・各項の内容を学会の総力を上げてアップデートしました。新たな試みとして、症例提示を中心に動画を含むオンラインコンテンツを数多く収載して、 “目で見て経験する生きた学習”を感じられるように工夫しました。「小児・成育循環器学」は、本領域の今と次世代のための体系的な教科書としての地位を確立しました。これはひとえに、改訂作業を無償で快く引き受けてくださった当学会評議員を中心とする執筆者の皆様、立案から校正と調整作業まで担当してくださった編集委員の方々、そして編集・出版にご尽力いただきました「診断と治療社」の皆様のお力の賜物です。この場をお借りして、心より感謝します。

 さて、今年の7月の学術集会は三重です。三谷会長が「医療と保健の未来を紡ぐ」をテーマに、様々な斬新な国際的・学術的な仕掛けと、地元のおもてなしを準備して下さっており、とても楽しみです。一般演題の募集が始まりましたので、どうぞ皆様奮って応募して下さい。

 そして今期理事会は、山積する課題を少しでも解決して学会の未来につなげるために、7月の総会・学術集会まで全力で駆け抜けます。学会員の皆様には、本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

 最後に今回の写真ですが、当院(東京都立小児総合医療センター)が誇るファシリティドッグ「アイビー」とのツーショットです。ファシリティードッグの存在がどれほど病院のこどもたちの励みになっているか、私はこれまであまり知りませんでした。今年は病院のこどもたちのため、また、ファシリティードッグを日本の皆さんにもっと知ってもらい、日本の病院に普及させることを祈念して、病院をあげてクラウドファンディングに挑戦することになりました。ご興味のある方は、どうぞ当院HPをご覧下さい。
<プロジェクト期間:令和7年1月14日(火)~3月14日(金)>