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PD-I-4 |
先天性心疾患患者の妊娠出産時に見られる不整脈 |
千葉県循環器病センター,先天性心疾患術後遠隔期不整脈研究班
丹羽公一郎,立野 滋,中澤 誠 |
先天性心疾患患者(CHD)の妊娠時に合併する不整脈の頻度,経過を明らかにすることを目的とした.1991年以降10年間にCHDに認められた妊娠時不整脈(厳重な監視或いは抗不整脈薬投与を必要とした例)について,産婦人科を標榜する全国の1528施設に対しアンケート調査を施行した.また,単一施設で,CHD 14例(17妊娠;23.9歳),正常対照16例(16妊娠;24.9歳)の妊娠時ホルター心電図を行った(H群).340施設から回答が得られ,CHD母体の出産数は2328件(0.23%)で,不整脈を161件(6.9%)に認めた.23例(25出産)で詳細な検討が行えた.23例の基礎心疾患はTOF 6 例,VSD 7 例,多脾症 3 例,dTGA 2 例,ECD,ASD,TA各 1 例.不整脈はPVC 10例,PAC 3 例,Af 3 例,AT 3 例,PSVT,AVNRT,AF,VT各 1 例,I-AVB 2 例,CAVB 3 例,SSS 2 例,不明 1 例.Af 2 例,AF,AT,AVNRT,PSVT各 1 例の合計 6 例(内多脾症 3 例)に抗不整脈薬治療が行われた(NYHA I度 3 例,II度 3 例).CAVB 3 例,SSS 2 例は妊娠前よりPMが装着されていた.母体死亡は認めないが,低出生体重児を 6 例に認めた.H群は,TOF 5 例,ECD 5 例,VSD 2 例,PS 1 例,TGA(III)1 例で,ECD 1 例に加療を要するAfを認めた.CHD例は対照例と比べ,PVC(/日);1805 vs 2.2(分娩後は486/日),2 連PVC(/日);2.7 vs 0,VT(例);1 vs 0,PAC(/日);1524(分娩後は302/日)vs 10,連発PAC(例);3(分娩後 6) vs 1 であった.CHD患者は周産期に不整脈が増加するが,厳重監視或いは抗不整脈薬投与を要する不整脈は比較的少ない.母体死亡は認めないが,胎児発育に影響を及ぼすと推測される.心機能悪化例では,抗不整脈治療を要することが多く注意を要する. |
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