C-III-7
肺動脈径の経時的変化-Nakata's PA index,McGoon ratio,Naito's PA area indexによる判定結果の相違-
福岡市立こども病院・感染症センター循環器科1),福岡市立こども病院新生児循環器科2),福岡市立こども病院心臓血管外科3)
佐川浩一1),中村 真1),石川司朗1),吉兼由佳子1),牛ノ濱大也1),総崎直樹2),塩川祐一3),角 秀秋3)

【背景・目的】肺血管床の発育は先天性心臓病の治療方針決定や術後の結果観察に重要な因子で,その指標として(1) NakataのPA index,(2) McGoon ratio,(3) NaitoのPA area indexが一般に用いられる.今回,用いる指標により肺動脈発達がどのように評価されるか検討した.【対象・方法】当院で心カテ及び手術を行ったファロー四徴症(TOF)患者98例を対象とし,各症例の術前,術後 1 年未満,術後 1 年以降の心血管造影から左右肺動脈及び下行大動脈の径を計測し各指標を計算した.さらに,各患者の肺血管床の発育を検討する目的で,術前値を100とし術後の発育を検討した.【結果】表は上記 3 指標による肺動脈径の経時的変化を示す.指標 (2) は (1) と (3) に比し小さく評価される.肺動脈発育度をpaired t-testで評価した場合,術前vs術後 1 年未満と術前vs術後 1 年以降の統計学的評価はいずれの指標でも「大きくなる」と評価された.しかし,術後 1 年未満vs術後 1 年以降の変化は,指標 (1) と (2) では「大きくなる」と評価されるが,指標 (3) では「変化なし」と判定された.また,各指標間の関係は (1) と (3) で相関係数r = 0.96,(1) と (2) ではr = 0.80,(2) と (3) ではr = 0.82であった.【考案】肺動脈発育の変化を上記指標で検討する場合,用いる指標により異なった結論が導き出される可能性がある.

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