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C-III-10 |
小児における添付型ニトログリセリン製剤を用いた血管中膜反応性の評価 |
大阪厚生年金病院小児科
佐野哲也,高田慶応,板垣裕輔,田川哲三 |
【背景】多くの小児疾患において血管障害が病態生理に重要な役割を果たしている.そこで小児においても血管障害や血管反応性の評価が必要であるが必ずしも容易でない.特にニトログリセリン(NTG)に対する血管拡張反応評価は基本的な検査にもかかわらず小児における方法は確立していない.【目的】添付型NTG製剤を用いて小児の血管中膜反応性を安全に評価できるかどうかを明らかにする.【対象】6 カ月~17歳(中央値 3 歳)の小児22例(川崎病10,心雑音 5,心電図異常 3,感染症 2,肥満・心筋症各 1)にのべ26回の検査を施行した.【方法】7.5MHz linear array transducerを接続した超音波装置(東芝メディカル社製SSA 380A)を用いて右肘窩の上腕動脈を描出した.体重にあわせた添付型NTG製剤(ミリステープ 5mg)を上腕に添付し 2,5,10~15分後にM-modeで血管径を計測し,前の血管径に対する最大拡張率を算出した.【結果】(1) 全例で副作用なく検査が施行できた.(2) NTG前後で心拍数(平均98→99),収縮期血圧(98→99),拡張期血圧(56→55)に有意な変化を認めなかった.(3) NTGに対する血管径の拡張率は3.4~28%であった.(4) 拡張型心筋症の 1 例ならびに発症 1 カ月以内の急性期川崎病 7 例中治療前の 3 例全例と治療後の 4 例中 2 例で拡張率が3.4~10.3%と低値であった.(5) 残る20例の拡張率は19 ± 5%で,NTG前の血管径と有意な負の相関(r = 0.56,p < 0.02)を認めた.(6) NTG前後で上腕動脈の最高流速(63→64cm/s),平均流速(21→21cm/s)は有意の変化を認めなかった.【結語】(1) 添付型製剤を用いて乳幼児を含む小児でも安全にNTGに対する血管拡張反応を定量評価できる.(2) 急性期川崎病や拡張型心筋症で血管中膜平滑筋の反応性低下が疑われる症例を認めた. |
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