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LS-2 |
手術介入した難治性serum leakage症例の検討 |
静岡県立こども病院心臓血管外科
藤本欣史,坂本喜三郎,角三和子,西岡雅彦,太田教隆,上原京勲,塚下将樹,横田通夫 |
人工血管を使用した体肺動脈短絡術(MBTS)後にserum leakageを合併し,再手術介入を要した 5 例と,serum leakageとの鑑別に難渋し,再手術の際にSVC閉塞に伴うSVC症候群によるリンパ漏と判明した 1 例の計 6 例について考察した.診断はAsplenia 3,PAIVS 1,TA 1,TOF 1で,MBTS術時年齢は1m─5y5m(平均1y6m),体重2.7─16.4kg(平均7.5kg)で,使用人工血管は,EPTFE graft 5(5mm:2,4mm:2,3.5mm:1),Vita graft 5mm:1 であった.【結果】全例閉胸時に人工血管からの血漿漏出を認めていた.Aspleniaの1例とPAIVSで術後各々23,36日に抜管した以外は術翌日に抜管可能だった.再手術介入は術後13─50dで,その間のドレーン流出量は1189─11357mlで,1 日平均91─231ml,1 日最高153─793mlの流出を認めた.再手術までのFFPの輸血量は,1143─5081ml(13─38d)で,1 日平均88─161mlを要した.再手術は人工血管の置換が 4 例,糊とEPTFE sheetによるwrappingが 1 例,リンパ漏部の糊によるwrappingが 1 例で,リンパ漏の 1 例以外は再手術後 1 週間以内にドレーン抜去可能であったが,リンパ漏の 1 例は術後も胸水の流出が続き,ドレーン抜去不能.経過中の血中総蛋白値は4.7─7.7g/dl(平均5.8)で,アルブミン値は2.1─4.4g/dl(平均3.3)で,フィブリノーゲン値も145.5─345.5mg/100mlであった.凝固系の明らかな異常を伴う症例もなかった.【考察】(1) 大量のFFP輸血を要する以外の著明な問題点は無かったが,保存的治療に抵抗性で,手術介入を余儀なくされた.(2) 流出量は比較的一定している傾向にあり,陽圧換気の有無や血中総蛋白値,凝固系,フィブリノーゲン値,疾患の複雑性との関連はなかった. |
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