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P-I-16 |
川崎病既往例におけるドブタミン負荷時QT間隔の検討 |
青森県立中央病院小児科
中田利正 |
【背景および目的】成人においてはドブタミン負荷時QT間隔の変化が冠動脈病変の有無で異なることが報告されているが,小児における報告は調べえた範囲ではない.川崎病既往を有する小児におけるドブタミン負荷時のQT間隔の変化を知ることを目的として自験例を検討した.【対象および方法】対象は1993年10月~2001年12月に当科でドブタミン負荷心筋シンチグラフィー(SPECT)を施行された川崎病既往例49例で,選択的冠動脈造影所見の内訳は正常例22例,狭窄例(冠動脈起始部の50%以上の狭窄性病変合併例)9 例,非狭窄例(狭窄例を除いた冠動脈病変合併例)18例であった.ドブタミン負荷は 5 マイクログラム/kg/分を 3 分間負荷し,同量を 3 分間ずつ段階的に追加する方法で行った.QT間隔,RR間隔,の測定はドブタミン負荷SPECT時に記録された心電図(第 2 誘導)において用手的に連続する 3 拍で行った.Bazettの補正式によるQTcを求め,QT,RR,QTcの平均値を算出した.統計学的検討はt検定を用い,p < 0.01を有意とした.【結果】ドブタミンの段階的追加負荷に伴う変化では,RR間隔は15~25マイクログラム/kg/分で有意に短縮,QT間隔は10~20マイクログラム/kg/分で有意に延長した.QTcは15~25マイクログラム/kg/分で段階的に有意に延長した.冠動脈病変の有無別にみた比較検討では,負荷前および負荷後のQTcの変化に有意の違いは認められなかった.SPECT陽性例と陰性例を比較検討すると,QTcは負荷前値に有意差はなかったが,15マイクログラム/kg/分負荷時に前者が有意に延長していた.【考察およびまとめ】SPECT陽性例と陰性例の間において違いが認められた原因の 1 つとして,川崎病急性期の心筋炎に起因する微小循環障害の関与が考えられた. |
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