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川崎病の冠動脈障害におけるMRI冠動脈造影(MRCA)の有用性 |
東京逓信病院小児科1),東京逓信病院放射線科2)
鈴木淳子1),稲葉利佳子1),小野正恵1),古山民夫2),武村 濃2),是永建雄2) |
【背景】MRによるCoronary Angiography (MRCA)の発達は目覚ましく,最近の話題の中心となっているが,小児においては撮影に際し呼吸停止できないためMRCAの検査対象とされなかった.ところが最近,呼吸停止不要のMRCAが開発され,私どもは乳児,小児への適応の可能性を検討した.川崎病の冠動脈病変は遠隔期に狭窄性病変へと少なからず進展するため,急性期直後より終生にわたる経過観察が必要とされて,頻回の心カテーテルによる造影検査が,患児とその家族に架している負担は計り知れない.反面,成人後には多くの患者が造影を拒否し経過観察から脱落している.また,瘤が退縮した例は管理不要として経過観察中止してきたが,最近になり退縮後にも,狭窄や動脈硬化性病変などの出現が確認されてきている.【目的】私どもは乳幼児から成人までの川崎病の冠動脈障害における,非侵襲的なMRCAの有用性を検討した.【対象,方法】川崎病既往の30例(4 カ月~37歳).I 群:発症後 6 カ月以内の 9 例,II群:遠隔期経過観察の19例,III群:成人期のスクリーニング目的の 2 例である.使用装置はSIEMENS社製MAGNETOM Symphony 1.5Tを用い,3D法で撮像した.MRCA所見を心カテ造影(14例)および心エコー所見(30例)と比較検討した.【成績】MRCAで冠動脈瘤は全17カ所(100%),拡大は 5 カ所中 4 カ所(80%),狭窄はXCAG影上の 7 カ所とMRCA上で新しい出現を認めた 1 カ所を加えた 8 カ所,ACバイパスグラフトも 2 本(100%),瘤内血栓も 1 例で描出された.いずれも造影所見や心エコー所見と一致した.【結論】MRCAは (1) 川崎病急性期直後の瘤形成の有無の確認,(2) 狭窄性病変進行の経過観察,(3) 成人期の病変のスクリーニングに有用であると思われた. |
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