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B-II-3 |
高位SVC還流型PAPVRに対する心房小切開修復法の中期遠隔成績 |
京都府立医科大学小児疾患研究施設小児心臓血管外科1),京都府立医科大学小児疾患研究施設小児内科2)
松下 努1),山岸正明1),春藤啓介1),新川武史1),宮崎隆子1),北村信夫1),浜岡建城2) |
高位SVC還流型PAPVRに対し,心房切開を最小限に留めた右心耳flapを用いる再建術式の中期遠隔成績を報告する.【症例】症例は10カ月から13歳の 5 例.全例右上肺静脈のSVCへの還流を認めた.その他,DORV + PS,PLSVC 2 例,TOF合併.【手術】右房切開は右心耳より稜線に沿い,頭側はRA-SVC接合部手前まで.洞結節及び洞結節動脈を温存した.ASDの辺縁を上下方共に切開拡大し,心房中隔flapを作製.これをSVC流入部前面を被覆するよう前上方に転位し,肺静脈─左房還流路を作製.SVC前面をRt. Upper PV還流部頭側で逆T字形切開,尾側切断面をSVC後壁に吻合.右心耳flapをSVC外壁に縫着しSVC切開口に連続させ,三角形の十分な開口部を持つ体循環還流路を作製.【結果】全ての症例において,術後CVPは10以下で経過.現在,39カ月から16カ月経過しているが,SVC,PV還流路共に有意な狭窄病変なく順調に経過している.【考察】高位SVC還流型PAPVRに対する新しい修復法を考案した.この新術式は心房切開を安全な部位で可及的小範囲とし,洞結節及び洞結節動脈を温存し,術後の上室性不整脈の発生を回避し得る.また,有茎の自己組織のみで再建しており,抗凝固療法も不要で,将来の成長も見込めるため静脈還流路の狭窄も来す可能性は低いと考えている. ![]() |
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