【目的】小児無輸血開心術後の貧血に対する経口鉄剤投与の効果を赤血球系各値及び鉄関連値から検討した．【対象と方法】対象は術中術後を通じ無輸血で経過した非チアノーゼ性心疾患の74例，年齢74.5 ± 48.5カ月（6 カ月～16.7歳），体重21.3 ± 11.8kg（5.9～51.7kg）．術後経口鉄剤を 1 カ月間投与した（鉄として平均3.3mg/kg/day）44例をI群，鉄剤非投与の30例をC群とした．疾患（I群/C群）はASD 21/14例，VSD 14/11例，その他9/5例．術前（BS）及び術後 1，4，7，14，28日に赤血球数（RBC），ヘモグロビン（Hb）値，ヘマトクリット（Ht）値，網赤血球数（Ret），血清鉄（Fe），フェリチン（Fer），不飽和鉄結合能（UIBC），総鉄結合能（TIBC），血清鉄飽和率（Fe-sat）を測定・算出し，これらの変化を両群間で，また群内では術前値と比較した．【結果】下表．術後 4 週においてRBCとHt値は両群共に術前値レベルまで回復したが，I群のHb，Ht，Fe，UIBC，Fe-satはC群より有意に高値を示した．【結論】術後の経口鉄剤投与は血清鉄値を早期に回復させ，貧血の改善を促す．