![]() ![]() |
K-V-4 |
ファロー四徴に対する一弁つきtransannular patchによる右室流出路再建術の遠隔成績 |
大阪府立母子保健総合医療センター心臓血管外科1),大阪府立母子保健総合医療センター小児循環器科2)
川田博昭1),岸本英文1),三浦拓也1),前畠慶人1),秦 雅寿1),中島 徹2),萱谷 太2),稲村 昇2),石井 円2),角由紀子2) |
【目的】ファロー四徴(TF)への一弁つきtransannular patch(TAP)による右室流出路(RVOT)再建後には,三尖弁逆流(TR),RVOTでの狭窄(PS),逆流(PR)が問題になる.PR防止を重視した,造影検査での正常肺動脈弁輪径(PVD)を基準とする小さめのRVOT再建の成績を検討した.【対象】一弁つきTAPによるRVOT再建術後心カテ検査を行った肺動脈閉鎖を除くTF 26例.手術時年齢は 5 月~5 歳 2 月[2 歳][平均],術中交連切開後または術前造影検査のPVD(TAP前PVD)は,正常比41~94[66]%であった.【方法】ブタ心膜(17例)又はEPTFEシート(9 例)の一弁つきウマ心膜TAPを用いた.術中計測したTAP後PVDは正常比88~150[103]%であった.術後 9~25[14]月の心カテ検査での中期遠隔期のTR,PS,PRと,その規定因子を検討し,最長10年 4 月(中央値 5 年 7 月)までの長期遠隔期成績をUCGにて検討した.PRは逆流シグナルとRV容積から総合的に 4 段階評価した.【結果】死亡,再手術例はなかった.中期遠隔成績:2/4度,3/4度のTRを各 1 例認め,後者は平均肺動脈(PA)圧28mmHg,RV収縮期圧61mmHgであった.右房圧は 1~11[6]mmHg,RV-PA収縮期圧差は 1~18[6]mmHgであった.PR3/4度(PR+)は 5 例,2/4度以下(PR-)は21例で,PR+はPR-に比し有意に,TAP前PVD(PR+:平均78,PR-:63%),TAP後PVD(PR+:116,PR-:99%)が大きく,TAP弁が固定(PR+:5/5,PR-:8/21例)していた.平均PA圧,RV/LV収縮期圧比に差はなかった.術後 1 月,1 年のTAP弁の固定例は,ブタ心膜弁:8/17,11/17例,EPTFE弁:0/9,3/9例で,EPTFE弁は術後早期に固定しにくかった.長期遠隔成績:3/4度のTRは 2 例,推定30mmHg以上のPSは 1 例であった.PR3/4度は13例,2/4度以下は13例であった.TAP弁の最長可動年は,ブタ心膜弁:5 年 9 月,EPTFE弁:3 年 6 月で,術後 1,3 年ともに,PRは可動例で有意に軽度であった.【まとめ】一弁つきTAP術後最長10年 4 月の遠隔期には,(1) TR,PSは問題ではなかった.(2) 術後PRの発症には,弁機能の消失,必要以上の肺動脈弁輪拡大が誘因であった. |
![]() |
閉じる |