C-V-2
右室流出路再狭窄に対するホモグラフトによる再建術
埼玉医科大学心臓血管外科・呼吸器外科1),埼玉医科大学小児心臓科2),東京大学胸部外科3)
朝野晴彦1),今中和人1),尾崎公彦1),桝岡 歩1),岡村長門1),許 俊鋭1),小林俊樹2),先崎秀明2),本村 昇3),高本眞一3)

過去に施行されたファロー四徴症やRoss手術などの右室流出路再建の長期予後は,再建材料の問題により再狭窄,弁不全の問題を残している.欧米においてはホモグラフトによる再建が一般的ではあるが,本邦においてはその使用において著しい制限がある.今回,東京大学組織バンクの協力を得て,右室流出路再手術 2 例にホモグラフトを使用し良好な結果を得たので報告する.【症例 1】7 歳女児,大動脈弁狭窄で 3 歳時にRoss-Konno手術を施行.右室流出路の再建は,後壁有茎自己心膜,前壁ウマ心膜一弁つきを使用した.術後 3 年目より,肺動脈狭窄出現し,3 度のバルーン拡張をおこない,今回23mm肺動脈弁ホモグラフトによる置換をおこなった.術後経過は良好で,現在圧較差はなく,肺動脈弁閉鎖不全も認められない.【症例 2】8 歳女児,2 歳時ファロー四徴症の根治手術を施行.肺動脈弁輪 3mmと狭小なため,Transannular patch(ウマ心膜一弁つき)にて右室流出路形成をおこなった.術後 5 年より肺動脈弁部の狭窄と肺動脈弁閉鎖不全が高度となり,さらに右室収縮力の低下を認めたため,肺動脈弁ホモグラフトによる右室流出路再建をおこなった.術後経過は良好で,現在圧較差はなく,肺動脈弁閉鎖不全も認められない.【まとめ】縫合操作に関しては非常に良好で,術後縫合部からの出血もほとんど認めなかった.2 例とも23mmの弁輪径であり,サイズは大きめであったが,右室前壁を利用することにより,形態も問題なく再建可能であった.長期予後には問題はあり,慎重な観察を指摘予定である.

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