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C-VII-4 |
ジゴキシン散の安全かつ有効な内服~賦形剤の工夫 |
九州厚生年金病院小児科1),九州厚生年金病院心臓血管外科2),九州厚生年金病院薬剤部3)
池田和幸1),城尾邦隆1),宗内 淳1),金谷能明1),渡辺まみ江1),井本 浩2),末松文博3) |
【目的】小児の心不全および不整脈治療に対してジゴキシンは今なお重要な薬剤である.当院では事故防止のため散剤を使用しビタミン剤の添加をしてきたが,製造中止に伴い賦形剤を乳糖へ変更した.その頃から血中濃度の上昇不良が認められたためその原因を調べ,ビタミン剤添加の有用性を検討した.【対象と方法】a)入院患者30名に対しジゴキシンエリキシルおよび乳糖賦形ジゴキシン散を投与中の血中濃度を測定した.年齢分布12日~5 歳 4 カ月,標準投与量0.01mg/kg/日.b)ジゴキシン散の分包紙吸着に関する検討は (1) ジゴキシン 1 万倍散0.2g,(2) ジゴキシン 1 万倍散0.5g,(3) ジゴキシン 1 万倍散0.2g + SiO2,(4) ジゴキシン 1 万倍散0.2g + ビタミン剤,以上 4 剤を分包した後に回収率を測定した.c)1 カ月から 9 歳の 8 名に対してジゴキシン散にビタミン剤添加を再開し,添加前後のジゴキシン血中濃度を比較した.標準投与量0.01mg/kg/日.【結果】a)乳糖賦形ジゴキシン散の血中濃度は0.32 ± 0.18ng/mlで,エリキシルの0.94 ± 0.61ng/mlに比べ,有意に低値を示した.b)ジゴキシン散の分包紙からの回収率は (1) 36%,(2) 56.8%,(3) 68.8%,(4) 76.2%であり,ビタミン剤添加が最も高い値を示した.c)ビタミン剤添加により,血中濃度は0.56 ± 0.44ng/mlから0.92 ± 0.68ng/mlへ改善した.【結語】ビタミン剤はジゴキシン散の賦形剤として有用であり,ジゴキシン散の分包紙への吸着を軽減させることで安定した血中濃度が得られる. |
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