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N-II-4 |
肺うっ血患児の無気肺改善への援助 |
福島県立医科大学附属病院小児科病棟
氏家 恵,高野由利江,遠藤康子,早坂一子 |
【はじめに】新生児は咳嗽反射や深呼吸が弱いため気道内分泌物により容易に無気肺を引き起こすと言われている.今回,大動脈再建術後無気肺を呈しその改善までの看護を経験したので報告する.【症例】日齢 7 日女児,循環不全認め当院搬送,大動脈縮窄症・心室中隔欠損症と診断され同日,大動脈再建術施行,術後 4 日で抜管以後インスピロン下で経過,左心不全を呈しカテコラミン投与され術後17日目,病棟転室.【看護の実際】安静時でも頻脈・多呼吸を呈し乾性咳嗽が多かった.空腹啼泣はあるが少しのあやしですぐおちついていたため清拭時以外は臥床させ,刺激による啼泣を避けた.徐々に心拍・呼吸がおちついてきたため転室後 7 日目から座浴・洗髪も開始し体を動かす機会を増やした.しかし12日目,右下肺野に無気肺が認められた.啼泣を防ぎながら無気肺を改善するために,体位変換の工夫を行った.体位変換を睡眠のリズムに合わせ母にも必要性を説明し一緒に行えるようにした.また抱くことによる体位ドレナージを期待し,右に頭をかかえ抱くようにした.母は第 1 子でありライン類の多いことで抱くことを恐がっていたためライン類を整理し慣れるまで看護婦が付き添って説明し積極的に抱けるようにした.児がおちつくように音楽や胎内音を聞かせながら行っていった.【結果】(1) 大動脈再建術後のため啼泣を防ぎながら体位変換ができた.(2) 母へ指導することでより患児の睡眠のリズムに合わせて実施できた.(3) しかし無気肺の改善に15日かかった.【考察】今回無気肺形成に至った原因として肺うっ血による気道内分泌物の増加があり,啼泣を避け安静を優先にしていたため体位変換の時期が遅かったことが考えられた.術後は啼泣を避けるため無気肺改善には時間がかかる.新生児でも肺うっ血が予測される場合,啼泣を防ぎながら早期に体位変換を開始し予防していくことが必要である. |
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