N-III-2
新ドレナージシステムを導入した先天性心疾患児の術後ドレーン管理の検討~早期離床を目指して~
静岡県立こども病院循環器ICU病棟
光本裕美,大石元美,山口みどり,青木久子

【はじめに】開心術後は,心タンポナーデや胸水貯留防止の為,ドレーンが留置される.当施設では,床置き式の低圧持続吸引法が行われているため,ドレーン留置中はベッド上での生活を余儀なくされている.また,時間毎のドレーンのミルキングや機械音が続くことは患児たちの睡眠にも影響してくる.今回上記問題点を改善する目的で新システム(J-VACシステム)を導入したので検討を加え報告する.【対象】ASD・VSD患児,長期間ドレーン留置が予想される患児.【方法】(1) 新ドレナージシステムを使用した患児に対し,ワークシートを使用して活動範囲,ストレスの増減(表情・活気・食思等の変化)をチェック.(2) J-VACを使用した患児・家族・受け持ち看護婦へのインタビュー.【結果・考察】学童の場合,創痛があるため術後早期においては従来の方法と比較し,離床に関しては大きな差は見られなかった.しかし,低圧持続吸引機の機械音や,時間毎のミルキングがなくなり睡眠を妨げる因子が消失したことで,良眠しやすい環境を整えることができた.長期間ドレーンを留置している患児においてはJ-VACへの変更後から離床が進むようになり,その結果患児の表情が良くなり,食事も進むようになった.乳児の場合,面会時に激しく啼泣することが多く,やむを得ず抑制をしたり,鎮静剤を使用していた.新システムでは,見た目が簡素であることから家族が手を出しやすく,抱っこをしてもらうことで啼泣を持続させることがなくなった.その結果鎮静剤の使用回数が減少し,親子のコミュニケーションを図る機会が増えたと思われる.一方,J-VAC使用中の離床の際に,接続が外れるトラブルが 1 例あった.離床を進めていく際,又はベッド上での活動範囲の増大に伴う事故防止においては今後の課題である.【まとめ】J-VACシステムの導入は先天性心疾患児の術後ドレーン管理において,親子ともにストレスの軽減につながったと考える.

閉じる