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N-III-6 |
長期PCPS装着中の患者の看護について~合併症を起こさずPCPSが離脱できた症例における看護ケア~ |
国立循環器病センターICU病棟
島野佐知子,宇野智子,寺井美代子,堀田美保子,菱田千珠,宇都宮明美,片山末野 |
【はじめに】PCPSによる治療法は容易に補助循環を開始することが可能であるが,患者にとっては出血や下肢阻血,感染などの重篤な合併症のリスクが極めて高く,侵襲が大きい.患者はファロー四徴症,肺動脈閉鎖,主要肺動脈側副血行路で,成人期に当センターにて一期的根治術を行った.術中の大量出血と予想を上回る肺高血圧のため,PCPSの装着を余儀なくされた.私たちはこの症例を受け持つ機会を得て,術後急性期における循環管理に視点を置いたPCPS装着中の看護と,予測される合併症に対する看護介入の重要性について学ぶことができた.よってその看護を振り返り,示唆を得たので報告する.【看護の実際】患者は36時間の手術後,開胸,PCPS装着され,当ICU病棟に入室された.開胸下にあり,出血傾向のため心タンポナーデ,心不全の悪化を認め,再開胸血腫除去,止血洗浄術がICU内で繰り返し行なわれた.患者の背部側は度重なる処置による血液汚染と同一体位によって湿潤状態にあり,その時々の患者の状態をアセスメントし,除圧,保清を行なった.また,深鎮静管理が行なわれており,合併症の予防に努めると共に易感染状態であったため,開胸時のスタンダードプランに沿って,厳重な環境整備を行なった.【結果】この症例のPCPS装着期間は17日間,そのうち11回に及ぶ再開胸止血洗浄術を要したが,重篤な合併症を引き起こすことなく,PCPSを離脱することができ,その後順調な回復過程をたどった.【結語】(1) 開胸,PCPS装着中の患者の合併症を予防するにあたっては,タイムリーな患者の変化に応じた,個別性のある看護計画を立案し,時期を得てその修正を行ない看護師全員に浸透させる.そのことで24時間,質の高い看護ケアが継続できる.(2) 患者に対するリスクアセスメントを行ない,最も適した看護ケアを駆使することが,合併症を起こさず,その患者の予後に多大な影響を与える. |
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