N-IV-3
心疾患患児の安静臥床に対するポジショニングの効果
国立循環器病センター乳幼児治療科
中谷なつみ,網田 緑,岡本恵理香,城谷衣鶴子,尚 真弓,下門すみえ

【はじめに】今日,未熟児や疾患を持った児に対して安静を保つケアとして,ディベロップメンタルケアが有効と言われている.当病棟では,心疾患を患っている新生児から 6 カ月未満の児が入院している.児は,様々なストレスを受け啼泣することが多く,その事が状態の悪化の誘因となる可能性が高い.病棟では,児の啼泣を少なくし安静を保てるよう様々な看護を行っている.その中でおくるみは効果があるように思われた.野村らは「ポジショニングの目的は早期産児の不良姿勢の改善,安静を保つ(覚醒レベルを下げる),ストレスへの適応性を高める,成長・発達を促すことである」と述べている.そこで,ポジショニングに着目し,心疾患患児に対してポジショニングの効果について検討したので報告する.【研究方法】当病棟に入院中の 3 カ月未満の児に対し,独自のフローシートを用い,ポジショニングありとなしの夜間の児の様子を10分間隔で観察した.安静時の心拍数・呼吸数の平均値,平均安静時間,非安静から安静への移行の平均安静時間とサイクルを比較した.【結果】平均心拍数・呼吸数は10例中 3 例がポジショニングありの方が少なかった.平均安静時間は10例中 8 例がポジショニングありの方が長かった.非安静から安静への移行時間は10例中 8 例がポジショニングありの方が短かった.サイクル回数は10例中 5 例がポジショニングありの方が少なかった.平均安静時間が長く,非安静から安静への移行の平均時間が短く,覚醒の平均回数が少なかったのは10例中 4 例で全員新生児であった.【結語】(1) 心疾患患児はポジショニングの効果を平均心拍数・呼吸数で比較することは困難であった.(2) 心疾患を持つ新生児に対するポジショニングは,安静を保つために効果があった.(3) 新生児期以降は身体的・精神的発達により,児によってはポジショニングが安静を阻害する因子となる.

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