N-V-6
子どもの病気を母親が受容する過程と看護援助の検討
埼玉医科大学附属病院本館 9 階病棟
穴田幸代,小畑美里,北田良子,平山和枝,及川 泰

【はじめに】病気を抱えて生まれた子どもをもつ母親の衝撃や不安は計り知れないものがある.病気の子どもを受容し,愛情をもって養育していけるようになるためには多くの支援と長い期間を必要とする.今回重症先天性心疾患と診断された子どもをもつ母親の子どもの病気を受容する過程と看護婦が行った援助について振り返り検討したので報告する.【事例紹介】ASD・VSD・孤立性右室低形成,男児.父親23歳,母親24歳の第 1 子.生後 1 カ月時PAバルーン拡張術,セントラルシャント造設術施行し,退院となる.退院後,病棟への電話相談が頻回にあり,2 週間後,嘔吐,便秘を主訴に再入院となった.5 日後退院.以後月 1 回外来通院中.【看護の実際】入院時,母親は病気に対し悲観的であり泣いていることが多かった.看護婦は訴えを傾聴し,母親の思いに共感するように努めた.その後,他の先天性心疾患の子どもをもつ母親と交流をもち,思いを共有することで少しずつ前向きな発言,笑顔が見られるようになってきた.再入院時,患児の嘔吐が続くことにより母親の不安が強くパニック状態であった.看護婦は母親に対する支援として労いの言葉かけを行いながら母親と共に患児の成長発達を喜んだ.さらに母親に対し再度,育児と与薬に関する指導を行い,その結果,入院後嘔吐は消失し退院となった.母親からは前向きな発言があるものの,不安の訴えも続いているため,地域の保健センターに対し,保健婦による定期的訪問を依頼した.【考察】母親は自分自身を「神経質」「自分の計画通りに家事ができないとパニックになる」と話しており,看護婦は母親のパーソナリティに応じた育児指導を行っていく必要がある.また母親の複雑な心理過程を把握し,その各段階に応じた適切な援助を統一して行っていく必要がある.

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