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川崎病急性期のガンマグロブリン 2g/kg 1 回投与法:血清IgG値と冠動脈病変との関係
県立広島病院小児科
木下義久

【目的】川崎病急性期のガンマグロブリン 2g/kg 1 回投与(IVG 2g)による血清IgG値の変化と冠動脈病変との関係を明らかにする.【対象】IVG 2gを10病日以内に施行した47例.発症年齢は平均1.9歳,男 / 女は26/21,IVG開始病日の平均4.9病日(2─10病日),原田のスコアの平均は4.3.IVG持続投与時間は平均20.8時間(11.0─27.5時間).IVG追加投与を 8 例に,うちステロイドパルスを 3 例に施行した.冠動脈病変は 4─5mmの動脈瘤を 2 例に認めた.【方法】初回IVG開始前,終了後24時間以内に血清IgGを測定し,その増加量 = IgG post-IgG preを算出.定期的に心エコーを行い40病日までの最大冠動脈径を選び,冠動脈の最大拡大率:%LCA(RCA)max = 100×LCA(RCA)max/LCA(RCA)preを算出.(1) IVG開始病日・投与時間と解熱までの時間・IgGの増加量・最大冠動脈拡大率との相関,(2) IgGの増加量と最大冠動脈拡大率との相関,(3) 追加投与群(n = 8)と非追加投与群(n = 39)のIgGの増加量を比較.【結果】(1) IVG投与時間は投与後IgGとの間に弱い負の相関が認められた(r = -0.46,P < 0.01).(2) IgGの増加量が1500mg/dl以下の症例では,高率に冠動脈拡大が認められた.(3) 追加投与群のIgGの増加量が非追加群に比べて,有意に低かった(p < 0.02).【結論】(1) IVG 2gでは早期の治療開始例で,冠動脈病変の出現率が高いという傾向はなかった.(2) IVG 2gの投与時間は,投与後IgG値との間に負の相関が認められた.(3) 追加投与群では非追加群に比べて,有意にIgG増加量が低値であった.(4) 血清IgGの増加量1500mg/dl以下は,IVG 2gでの冠動脈病変の出現を早期に予測できる因子の可能性があると考えた.

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