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右胸心を伴う単心室の心電図所見-心電図から形態の推定は可能か-
東京療院MOA健康科学センター1),榊原記念病院小児科2),弘前大学小児科3)
鈴木清志1),森 克彦2),佐藤 工3),村上保夫2),畠井芳穂2),三森重和2)

【目的】単心室(SV)の心電図は,その形態と痕跡的心室(RC)の位置によって一定の傾向を示すことが知られている.逆に言えば,心電図所見から心室の形態や刺激伝道系の位置をある程度推定できる.手術などでは正確な形態診断が不可欠だが,右胸心に伴うSVに関しては,不明な点が多い.本研究では,右胸心 & SVの形態と心電図所見を対比させ,分類が可能かどうかを検討した.【方法】榊原記念病院に入院した右胸心 & SVの29例を対象とした.胸部X-p,心エコー,造影検査,剖検所見から主心室の形態を検討し,RCが上前にあれば左室性単心室(SLV),後下なら右室性単心室(SRV),RCが不明の場合はindeterminateとした.その結果をスカラー心電図(ECG)のQRS波形およびベクトル心電図(VCG)と比較した.【成績】SLV(6 例):solitus 2 例,isomerism 4 例.RCは右上が 5 例で,左上が 1 例.VCGでは全例でmajor vectorが左下に向かった.ECGでは,QRSは中間軸で左側電位優位(いわゆる左室肥大)を呈した.SRV(11例):solitus 2 例,inversus 2 例,isomerism 7 例.RCは右後が 4 例,後ろが 5 例,左後が 2 例.major vectorは上から左上前に向かい,ECGでは左軸偏位~northwest axisで,右側電位優位(いわゆる右室肥大)を呈した.indeterminate SV(12例):solitus 2 例,isomerism 10例.上の心電図上の特徴から,SRVの可能性が高いのが 9 例,SLVと思われるのが 3 例だった.【結論】右胸心 & 単心室でも心電図所見は一定の傾向があり,SLVなら中間軸でいわゆる左室肥大,SRVなら上方軸でいわゆる右室肥大を示した.RCがない,または見つからない例では,この心電図所見が特に有用と思われた.

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