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P-III-65 |
組織ドプラ法による右室TEI index |
秋田大学医学部小児科
小山勝幸,原田健二,安岡健二 |
【目的】パルスドプラ法を用いたTei index(P-Tei)は心室収縮能と拡張能を合わせ持つ簡便な指標とされるが,心室流入及び流出波形を同時計測できないという欠点がある.一方組織ドプラ法(TDI)を用いたTei index(TDI-Tei)はこの欠点を克服し,体動等で心拍が大きく変化する小児での臨床応用が期待される.本研究の目的はTDI-TeiとP-Teiを比較し,TDI-Teiの妥当性を検討する事.【方法】対象は正常小児39例,心筋症(n = 5),Fontan術後(n = 5),軽度の右室流出路狭窄の残存するFallot四徴症(TOF)術後(n = 9).Aloka SSD-5500を用いてTDIから得られる三尖弁輪部壁運動速度(収縮期最大速度S,拡張期最大速度Ea,心房収縮期最大速度Aa),パルスドプラ法から得られる三尖弁流入血流速度(拡張早期最大速度E,心房収縮期最大速度A)を記録した.P-Teiは従来の方法に従い三尖弁流入血流波形の終了から開始までの時間(a),右室駆出時間(b)から(a - b/b)で算出した.更にTDIよりAaの終わりからEaの始まりまでの時間(a')とSの持続時間(b')からTDI-Tei[(a' - b')/b']を求めた.【結果】aとa',bとb'及びP-TeiとTDI-Teiは各々良好な相関を示した(r = 0.94,0.89,0.87,p < 0.0001).P-TeiとTDI-Teiは正常小児(0.35 ± 0.08 vs 0.37 ± 0.08),心筋症例(0.80 ± 0.23 vs 0.79 ± 0.21)及びFontan術後症例(0.67 ± 0.06 vs 0.71 ± 0.14)では極めて良好に一致した.しかしTOF術後症例ではb'はbに比し有意に長く(295 ± 30 vs 258 ± 26msec,p = 0.0003),その結果TDI-TeiはP-Teiに比し有意に高値(0.48 ± 0.07 vs 0.26 ± 0.08,p = 0.002)を示した.TOF 9 例を除外した場合,aとa',bとb'及びP-TeiとTDI-Teiの関係はr = 0.96,0.95,0.95に改善した.【結語】右室流出路狭窄のない症例ではTDI-TeiはP-Teiと一致する.しかし右室流出路狭窄合併例ではP-Teiは過小評価される.一方TDI-Teiは従来のP-Teiが有す計測時の心拍変化や流出路狭窄による過小評価の問題点を克服し,臨床的に簡便かつ有用な検査法と考えられる. |
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