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P-IV-81 |
陰圧吸引脱血を用いた小児用人工心肺回路の臨床的検討 |
旭川医科大学医学部外科学第一講座1),旭川医科大学付属病院手術部2)
熱田義顕1),郷 一知1),赤坂伸之1),東 信良1),内田 恒1),浅田秀典1),小久保拓1),関川智重2),稲葉雅史1),笹嶋唯博1) |
【目的】当科では2000年 4 月より小児開心術症例に対し全例陰圧吸引補助脱血法(VAVR)を用いた人工心肺回路を使用してきた.今回その効果につき検討した.【方法】1998年以降に行った体重15kg未満の乳幼児ASD,VSD,ASD + VSD症例25例を対象とした.このうち2000年 4 月以降にVAVRを用いた11例をV群とし,それ以前の落差脱血を用いた14例をG群とした.平均体重はV群 7.85 ± 3.33kg,G群7.64 ± 3.28kg,体外循環時間はV群120.9 ± 34.0分,G群139.8 ± 39.8分で有意差は無かった.術前自己血貯留は 1 例も無かった.両群とも人工肺はD社製.心肺回路は旭川医大式S回路を使用した(脱血 6mm,送血 5mm).gravityの落差は60~70cm.VAVR時の落差20cm未満,静脈リザーバー内吸引圧-10mmHg~-20mmHg.初期回路充填量,輸血量,ハプトグロビン使用の有無,Ht,LDH及びGOTの推移を比較検討した.【成績】初期充填量はG群823 ± 146ml,V群403 ± 108mlで有意に削減できた.無輸血手術例はG群 0 例,V群 4 例であり,輸血症例でもG群644 ± 145ml,V群269 ± 74mlで輸血量を削減できた.ハプトグロビン使用例はG群で 6 例,V群では 0 例であった.CPB前後でのHt値に両群間に有意差はなかった.ICU入室時および術後 1 日目のLDH値はG群で有意に高値であった.GOT値は両群間に有意差はなかった.【結論】VAVRの導入により無輸血開心手術例を増やすことができ,輸血量も削減する事ができた.また人工心肺による溶血はむしろ少なかった. |
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