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P-V-53 |
ファロー四徴患児における自律神経活動の評価-心拍変動のスペクトラム解析から無酸素発作は予測可能か?- |
新潟大学大学院医歯学総合研究科小児科学分野1),国立循環器病センター小児科2)
佐藤誠一1),長谷川聡1),遠藤彦聖1),鈴木 博1),桑原 厚1),竹内菊博1),廣川 徹1),矢崎 諭2),塚野真也2),内山 聖1) |
【目的】ファロー四徴(TOF)患児の無酸素発作(Anoxic Spell:AOS)は,生後 6 カ月頃に初発することが多く,予防にβ遮断薬が有効なことから,自律神経活動の関与が考えられる.心拍変動のスペクトラム解析により,AOSの自律神経活動の特徴を検討する.【対象】TOFと診断され,生後 6 カ月頃にHolter心電図を記録した17例に,前向き研究で検討した.その後にAOSを合併した症例(AOS群)は 5 例,合併しなかった症例(NOS群)は12例であった.正常対照群(C群)は心疾患を認めない13例(平均7.9カ月)である.【方法】Holter心電図の記録から得られたRR間隔データを,フクダ電子社製RR間隔スペクトラム解析プログラムHPS-RRA(Win)で解析した.分析アルゴリズムは最大エントロピー法を,モデル次数はAIC赤池法を用いた.周波数成分を,低周波成分LF(0.04~0.15Hz),高周波成分HF(0.15~0.40Hz)に分類し,Total Power(TP)とLF/HF比も検討した.Kruskal-Wallis test,Fisher's PLSD法で検定した.【結果】結果の平均値(LF;HF;TP;LF/HF)は,AOS群(171.9;93.4;1138.1;3.06),NOS群(228.4;123.3;1221.7;2.12),C群(211.0;112.1;913.1;3.10)であった.AOS群とC群に有意差は認めず,NOS群はC群・AOS群に比べ,HFが高値,LF/HF比が低値の傾向を示した.【考察】無酸素発作を合併しないNOS群で,『副交感神経活動の亢進』が疑われた.AOS群に対するβ遮断薬の投与は,『交感神経活動を抑制し,相対的に副交感神経の亢進状態にする』ことで有効であることが示唆された.さらに症例を重ねることで,無酸素発作を予測できる可能性が示唆された. |
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